日本とラトビアの関係

日本とラトビアの関係は、両国が遠く離れた場所に位置しながらも、歴史的な出来事や共通の価値観を通して、深く結びついてきました。この関係は、政治、経済、文化など多岐にわたる分野で展開しており、両国間の相互理解と協力関係を深める上で重要な役割を果たしています。

歴史

20世紀初頭、ロシア革命の混乱に乗じてラトビアが独立を宣言したことが、両国関係の始まりです。第一次世界大戦後、独立国として認められたラトビアは、1921年に日本と国交を樹立し、首都リガには大日本帝国公使館が設置されました。しかし、1940年のソ連によるラトビア侵攻により、ラトビアは独立を失い、日本公使館も閉鎖されました。

その後、1991年にラトビアがソ連から独立を回復すると、日本は同年9月にラトビアを国家承認し、外交関係を再開しました。1992年6月からは、在スウェーデン日本国大使館がラトビアを兼轄し、交流が深まると、2000年1月にはリガに在ラトビア日本国大使館が開設されました。2009年には、常駐の初代駐ラトビア日本大使が着任しました。一方、ラトビア側も2006年に東京に駐日ラトビア大使館を設置し、両国間の外交関係は強化されました。

外交

ラトビアは、経済協力開発機構（OECD）、北大西洋条約機構（NATO）、世界貿易機関（WTO）の加盟国であり、冷戦終結後は、西側諸国の一員として、日本と共同歩調を取ることが多くなっています。両国は、国際的な課題に対し協力し、民主主義や法の支配といった共通の価値観を共有しています。

要人往来

両国間の要人往来は、相互理解を深める上で重要な役割を果たしています。ラトビアからは、2006年にアイガルス・カルヴィティス首相が、2009年にはイヴァルス・ゴドマニス首相が、2013年にはヴァルディス・ドンブロウスキス首相が、2017年にはマーリス・クチンスキス首相がそれぞれ訪日し、首脳会談を実施しました。2019年には、エギルス・レヴィッツ大統領が即位礼正殿の儀のために訪日し、安倍晋三首相と会談しました。これらの会談では、経済協力や安全保障、北朝鮮情勢など、多岐にわたる議題について話し合われました。

一方、日本からは、2018年に安倍晋三首相がラトビアを訪問し、マーリス・クチンスキス首相と首脳会談を実施しました。この際、両国間の経済協力を促進するための「日バルト協力対話」が創設されました。また、安倍首相はラトビア独立戦争で亡くなった兵士を追悼する「自由の記念碑」に献花しました。

その他、両国の閣僚や政治関係者が相互訪問を重ねており、交流を深めています。2021年には、茂木敏充外務大臣がバルト三国を訪問した際、中国の海洋進出や人権問題について、バルト三国と日本の間で深刻な懸念を共有したことが発表されました。

経済交流

経済面では、2018年の対ラトビア貿易は、輸出73.2億円、輸入88.6億円とほぼ均衡しています。日本からは主にゴム製品や自動車が輸出され、ラトビアからは木材、泥炭、家具などが輸入されています。また、西友が直輸入するパスタブランド「ドベリ」はラトビア産です。

ソ連からの独立当初、ラトビアは経済的に困難な状況にありましたが、日本は1996年10月に日・ラトビア経済協力政策協議を行い、技術協力や文化無償資金協力を中心に開発援助を行ってきました。特に文化無償の分野では、歴史博物館への視聴覚機材の供与や、フィルム・写真・音声資料保存館への資料保存機材の供与など、ラトビアの文化・教育・芸術活動の活性化に貢献してきました。その後、ラトビアは経済成長を遂げ、2004年にEUとNATOに加盟、2016年にはOECDに加盟し、先進国の一つとみなされるようになりました。これにより、2006年以降、日本の文化無償資金協力は停止し、2007年にはODAも終了しました。

文化交流

文化交流も盛んに行われています。在ラトビア日本国大使館は、日本映画の鑑賞会、生け花教室、日本人形展などを開催し、日本の伝統文化やポップカルチャーをラトビアに紹介しています。一方、日本では、両国の友好関係を促進する「関西日本・ラトビア協会」や、音楽面での協力を促す「日本ラトビア音楽協会」が存在します。

姉妹都市

両国間では、姉妹都市交流も行われています。兵庫県神戸市は、1974年にリガと姉妹都市となり、2014年には交流40周年を迎えました。また、北海道東川町は、2008年にルーイエナ町と姉妹都市提携を結び、多岐にわたる交流活動を行っています。

外交使節

両国間には大使館が設置されており、駐ラトビア日本大使、駐日ラトビア大使がそれぞれ任命されています。初代駐日ラトビア大使はペーテリス・ヴァイヴァルス氏で、2006年から2013年まで務めました。

まとめ

日本とラトビアの関係は、歴史的なつながりを基盤とし、政治、経済、文化など多岐にわたる分野で発展を続けています。両国は共通の価値観を共有し、国際的な課題に対し協力することで、相互理解と友好関係を深めています。今後も、両国間の交流がさらに活発化することが期待されます。

もう一度検索