エギルス・レヴィッツ

エギルス・レヴィッツ：ラトビアの独立に貢献した政治家・法学者

エギルス・レヴィッツ（Egils Levits）は、1955年6月30日生まれのラトビアの政治家、法学者であり、ラトビアの前大統領です。彼は、ソビエト連邦末期にラトビア人民戦線に所属し、1990年のラトビア独立回復に大きく貢献しました。

経歴

レヴィッツは、ソビエト連邦占領下のリガで生まれました。彼の父はユダヤ人のエンジニア、母はバルト・ドイツ人の詩人でした。1972年、一家は反ソ連活動を理由にソ連を追放され、西ドイツに移住。レヴィッツはラトビアが独立を回復する1990年まで西ドイツに留まりました。

1980年代末から政治の世界に入り、ラトビア人民戦線に所属。1993年には「ラトビアの道」という政党から国会議員に当選しました。ラトビア共和国憲法の起草に携わったほか、大統領直属の憲法委員会委員長を務めるなど、ラトビアの法制度の確立に貢献しました。また、オーストリア、スイス、ハンガリーなどの大使を歴任し、国際的な舞台でも活躍しました。

法曹界でも、1995年に欧州人権裁判所判事に選任されたほか、2004年以降は欧州司法裁判所判事を務めるなど、国際的な司法の分野で重要な役割を果たしました。

大統領として

2011年と2015年の大統領選挙では落選しましたが、2019年の大統領選挙でついに当選。大統領として、ラトビアの国益を守りながら、ヨーロッパとの連携を強化する政策を推進しました。

2022年4月には、ロシア軍による集団虐殺が確認されたウクライナのブチャとボロディアンカを訪問し、ウクライナへの支持を表明しました。

政治的立場

レヴィッツは、国内の政治問題では保守的な考えを示してきました。しかし、欧州司法裁判所では、難民の受け入れやイスタンブール協定（女性に対する暴力および家庭内暴力の予防と撲滅に関する協定）はラトビア共和国憲法に抵触しないと述べるなど、柔軟な姿勢も示しています。彼は政党には所属しておらず、今後も無所属で活動する意向を表明しています。

人物

産婦人科医の妻との間に1男1女がいます。ラトビア語のほか、ドイツ語、英語、フランス語、ロシア語に堪能であり、国際的なコミュニケーション能力に優れています。

2019年10月には、日本の令和の天皇徳仁の即位礼正殿の儀に参列するため日本を訪問し、早稲田大学で講演を行いました。

エギルス・レヴィッツは、ラトビアの独立回復に貢献し、国際的な舞台でも活躍する、現代ラトビアを代表する政治家の一人です。

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