日本における喫茶店の歴史

日本における喫茶店の歴史

日本の喫茶店文化は、江戸時代に始まり、その後の歴史を通じて大きな変遷を遂げてきました。喫茶店の起源は、江戸時代におけるコーヒーの伝来に端を発します。1640年代に当たる時期、オランダ人によって長崎の出島で初めて日本人に振舞われたコーヒーは、当初はその独特な風味に抵抗を感じられました。しかし、次第に外国文化が流入し、特に黒船来航以降、西洋料理店のメニューとしてコーヒーが広まり始めます。

特に明治時代にはコーヒーの輸入が正式に行われ、横浜居留地では既にコーヒーハウスや休憩所が営業していました。1864年には初めてのコーヒーハウスが開業し、その後も関西や東京で多くの喫茶店が誕生しました。その中で異人館見物のために外国人を対象にコーヒーを振舞う場が生まれ、「可否茶館」の開店は本格的な喫茶店の形態を持つ店舗として重要な足跡となりました。

1892年には、経営不振などから可否茶館が閉店し、その後の喫茶店は多種多様に展開されました。1911年には「カフェー・プランタン」など、パリのカフェにインスパイアを受けた店舗が開店し、各店舗は個性的なサービスや雰囲気を打ち出しました。この時期、喫茶店は極めて重要な社交の場となり、都会の文化やトレンドを反映する店舗が相次いで出現したのです。

昭和に入ると、喫茶店はさらに分化し、「カフェー」や「特殊喫茶」などさまざまな業態が登場しました。しかし、戦争の影響でコーヒーは贅沢品とされ、その結果、多くの喫茶店が閉店に追い込まれました。戦後の1950年以降、コーヒーの輸入が再開され、特に個人経営の店が急増しました。

1960年代から1970年代にかけて、喫茶店は次第に一般市民の日常生活の一部として浸透しました。自家焙煎にこだわる個性的な喫茶店や、「珈琲館」「カフェ・ド・コロラド」などの専門店も増え、喫茶店文化は一時ブームを迎えます。1955年には深夜喫茶が登場し、客のニーズに合わせた新たなスタイルが生まれました。

その後、喫茶店は「音楽系喫茶」の流行や「漫画喫茶」といった新業態の登場にも見舞われました。1970年には名古屋で漫画喫茶が初めてオープンし、その後のコンピュータ技術の進化と共にインターネットカフェが普及、この流れも喫茶店のスタイルを変える要因となっていきました。

ここ数十年では、スターバックスやタリーズコーヒーといったチェーン店が台頭し、ファーストフードとの競争も影響を及ぼし、喫茶店の数は減少傾向にあります。1981年には154,630店あった喫茶店が、2014年には約半減し69,977店になりました。このように、喫茶店は多くの歴史的背景とともに現在の文化の一端を担う存在となっています。これからの喫茶店がどのように変化していくのか、今後の展開にも目が離せません。

もう一度検索