日本における追放刑

追放刑の歴史と概念

本稿では日本における追放刑について、歴史的な背景や運用実態を探求します。追放刑とは、特定の地域から犯罪者を排除する刑罰であり、古代から近世にかけて数回にわたり実施されました。現代日本には追放刑は存在しませんが、その兆しや形跡は歴史に色濃く残っています。

1. 古代日本における追放刑の起源

追放刑の起源は日本神話にまでさかのぼると言われています。特に、スサノオが高天原から追放されたエピソードが、追放の起源としてしばしば言及されます。平安時代には、流罪を受けた者が刑期を終えた後に元の土地に戻れるという制度が存在していましたが、平安京の住人に関しては追放が特別に認められていました。これは、歴史的に見れば違法行為の改訂を受けて合法化されたものであり、住居の取り壊しなどが伴っていました。

また、律令制の崩壊とともに人々の移動が自由化され、社会的な秩序が乱れる中で、治安維持の手段としても追放刑が利用されていました。

2. 中世の追放刑

追放刑が本格的に導入されたのは中世に入ってからです。鎌倉幕府が制定した『御成敗式目』には、流罪ではなく追放が選択されるケースが見受けられることから、追放が刑罰として位置づけられたことがわかります。追放は、刑罰の一環として、特定の地域からの排除を目的としていました。流罪との主な違いは、追放が特定の居住地からの排除であり、行き先を定めなかった点です。

中世の村落においては、村の法を犯した者に対しても追放刑が実施されることがあり、社会において広く行われていました。

3. 近世における追放刑

江戸時代に入ると、江戸幕府や藩により追放刑が多く実施されるようになりました。初期のケースでは、キリシタンへの国外追放など、過激な行為が見られることもありました。追放は、流刑とは別に定義され、江戸幕府においては一定の規範が設けられました。追放刑は時に重追放、軽追放といったランク分けがなされ、犯罪の内容や地域により異なる処罰が適用されました。

特に『公事方御定書』による法体系の確立によって、追放刑の軽重が明確に定義されるようになりました。

4. 追放刑の運用とその課題

追放刑は無期刑であることが原則とされましたが、赦免がなされることもありました。しかし、追放された者が再び御構場所に戻ることがあったため、追放刑は治安を維持する目的を果たせていない側面もありました。また、追放された者が生活苦から犯罪を犯すことが頻発し、結果として治安に新たな問題を引き起こしました。

幕末に至ると、江戸における追放刑処罰者の多くが更生施設に収容されるなど、追放刑制度には多くの矛盾が露わになっていきました。このような問題は明治元年に新政府が追放刑を停止し、徒刑に取って代わるまで続くこととなります。

5. まとめ

このように、追放刑は日本の歴史の中で多くの変遷を経てきました。形式や適用方法は時代によって異なるものの、追放刑は社会的な秩序回復や治安維持の手段の一環として位置づけられていたことがわかります。今日、追放刑が存在しない現代においても、その影響は法制度や社会の中に引き続き見受けられるのです。

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