日本の侵略的外来種ワースト100

日本の侵略的外来種ワースト100とは

「日本の侵略的外来種ワースト100」は、日本生態学会が2003年に創立50周年を記念して出版した『外来種ハンドブック』の付録資料として作成されたリストです。このリストは、日本の生態系や人間活動に深刻な影響を与える可能性のある外来生物を100種選び出し、社会的な関心を高め、効果的な対策を促進することを目的としています。

選定の背景

2003年当時、日本には外来種対策に関する法体系が十分に整っていませんでした。そのため、日本生態学会は、生物多様性の保全のために優先的に取り組むべき外来種を明確化する必要がありました。このリストは、単なる外来種のリストではなく、対策を講じるべき「侵略的外来種」に焦点を当てることで、より具体的な行動を促すことを目指しています。監修者は、このリストを「仮のリスト」と位置づけており、今後の科学的な評価や考察を通じて、対策を優先すべき種を決定していくことを望んでいます。

選定方法

選定は、まず『外来種ハンドブック』の編集委員が、それぞれの担当分類群の中から、特に影響が大きいと考えられる種を候補として挙げました。この際、日本国内での影響が確認されている種だけでなく、海外で影響が知られている種や、大きな影響が予測される種も含まれました。候補種は、「必ず選定すべきもの」と「選定することが望ましいもの」の2段階に分けて評価され、最終的に約120種が候補として挙げられました。その後、監修者（村上興正・鷲谷いづみ）がこれらの候補種を基に、ワースト100を選定しました。

選定された生物の種類

このリストには、多岐にわたる分類群の生物が含まれています。

哺乳類: 10種が選定され、そのうちネコ目が5種と半数を占め、ウシ目が2種、サル目、ネズミ目、ウサギ目がそれぞれ1種ずつ選ばれています。選定当時、フイリマングースはジャワマングースの亜種とされていましたが、後に別種と判明しています。
鳥類: 複数種が選定されています。
爬虫類: カメ2種、ヘビ、トカゲが各1種、計4種が選定されています。
両生類: カエルが3種選定されています。
魚類: 淡水魚が8種選定されています。
昆虫: 22種が選定され、チョウ目2種、甲虫目6種、ハチ目2種、ゴキブリ目2種、ハエ目4種、カメムシ目4種、アザミウマ目2種が含まれます。
昆虫以外の節足動物: ザリガニ2種、カニ1種、クモ1種、ダニ2種（うちトマトサビダニ）の計5種が選定されています。ミツバチヘギイタダニは「寄生生物」の項目に計上されています。
軟体動物: 陸生巻貝3種、淡水巻貝2種、淡水二枚貝1種、海水性二枚貝3種の計9種が選定されています。
その他の無脊椎動物: カサネカンザシ1種が選定されています。
維管束植物: 26種が選定され、すべて被子植物です。木本が3種、草本が23種（水中草本3種、浮遊草本2種を含む）選定されており、特にキク科が11種と最多です。イネ科が3種、マメ科が2種と続きます。
維管束植物以外の植物: イチイヅタが1種選定されています。
寄生生物: 線形動物3種、扁形動物1種、ダニ1種、ウイルス1種の計6種が選定されています。

リストの意義と今後の展望

「日本の侵略的外来種ワースト100」は、外来種問題に対する社会的な意識を高めるとともに、科学的な根拠に基づいた対策を促進するための重要なステップです。今後、このリストを基に、それぞれの外来種がもたらす影響を詳細に評価し、優先的に対策を講じるべき種を特定していく必要があります。

参考文献

村上興正、鷲谷いづみ（監修） 著、日本生態学会 編『外来種ハンドブック』地人書館、2002年。ISBN 978-4805207062。
多紀保彦（監修） 財団法人自然環境研究センター（編著）『決定版 日本の外来生物』平凡社、2008年4月21日。ISBN 978-4-582-54241-7。
国立[[環境研究所]] 侵入生物データベース

関連項目

外来種
世界の侵略的外来種ワースト100
特定外来生物による生態系等に係る被害の防止に関する法律
要注意外来生物
日本生態学会

外部リンク

日本生態学会
侵入生物データベース - 国立研究開発法人国立[[環境研究所]]

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