日本の名随筆

『日本の名随筆』は、作品社から出版された、明治時代以降の各界で活躍した著名人による随筆を集めたシリーズです。このシリーズは、各巻ごとに異なるテーマを設定し、そのテーマに沿った随筆を収録したアンソロジー形式となっています。

各巻の編集は、そのテーマに最もふさわしい人物が担当し、選りすぐりの30から40編程度の随筆やエッセーが収録されています。各巻には、編集者自身の作品も含まれており、巻末には編集者による「あとがき」も掲載されています。このシリーズには、延べ2000人以上の執筆者が参加し、総作品数は7000編を超えるという、非常に大規模なものです。

シリーズは「本巻」100巻と「別巻」100巻の計200巻で構成されています。「本巻」は、『花』『鳥』『猫』などの一文字をテーマにしたシリーズであり、「別巻」は『囲碁』『相撲』『珈琲』などの二文字をテーマにしたシリーズです。このシリーズは、昭和57年10月から毎月1巻ずつ刊行され、200ヶ月（16年8ヶ月）という長期にわたる刊行を経て、平成11年6月に全200巻の刊行が完了しました。完結を記念して、『作家別収録作品総索引』と『随筆名言集』も刊行されました。また、1999年（平成11年）には、その企画の独創性が評価され、第53回毎日出版文化賞（企画部門）を受賞しました。

各巻の構成にも工夫が凝らされており、目次の前には、その巻のテーマに関連するイラストレーションや絵画、写真などがカラー印刷で口絵として掲載されています。さらに、テーマに合った詩が掲載されることもあります。巻末には、収録された各随筆の作者のプロフィールと出典が記録されており、読者がより深く作品を理解できるようになっています。また、全巻の装丁は菊地信義が担当し、統一感のあるデザインが施されています。判型はB6変形版で、各巻おおよそ250ページで構成されています。価格は、当初本巻が1200円、別巻が1600円（いずれも税込）でしたが、現在は本体価格1800円となっています。

『日本の名随筆』は、さまざまな分野の著名人の視点や考え方に触れることができる貴重な作品集です。幅広いテーマを扱い、日本の文化や歴史、人々の暮らしについて深く考えさせられる内容となっています。随筆という形式を通じて、筆者たちの個性豊かな表現や洞察に触れることができるのも大きな魅力です。

このシリーズは、文学ファンだけでなく、日本の文化に興味のある人にとっても、非常に価値のあるコレクションと言えるでしょう。各巻が独立したテーマを持っているため、興味のあるテーマから読み始めることも可能です。また、完結記念として刊行された『作家別収録作品総索引』と『随筆名言集』を活用することで、より深く『日本の名随筆』の世界を楽しむことができるでしょう。

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