日本の農林水産業

日本の農林水産業の概要

日本の農林水産業は、農業、林業、水産業から成り、国内経済の中で第一次産業として重要な役割を担っている。2020年時点で、このセクターは国内総生産に約1.1%を寄与しており、政府の所管は農林水産省である。

農業の現状

農業の土地利用に関して、日本ではわずか20%の土地が耕作に適しており、実際に耕作可能な土壌は12.4%しか存在しない。このため、農業経済は強力な助成や保護を受けて運営されている。主な作物は米であり、他にはビート、サトウキビ、ジャガイモ、サツマイモ、小麦なども栽培されている。南九州や四国、本州では茶が栽培され、青森はりんごで知られている。

1940年代までは農業、林業、漁業が経済の中核をなしていたが、戦後はその比重が次第に低下。明治時代には雇用の80%以上を占めていたが、戦後もその後は減少し続けた。1965年には労働力の約23.5%が農業に従事していたが、その割合は徐々に減少し、2020年には農業が占める割合は0.9%にまで落ち込んでいる。これに伴い、農業に従事する農家も減少し、1980年代後半には85.5%が農業以外の職業にも従事する兼業農家であった。

土地不足が大きな課題であり、耕作されている農地は49,000平方キロメートルに過ぎない。水田は平野と斜面、湿地や湾を利用して集中して耕作されるため、農地の利用効率を高める取り組みが急務となっている。また、農地の集約化を進めるための「農地中間管理機構」が導入され、企業も参入しやすくなるような仕組みが進められている。

畜産業の状況

日本の畜産業には、牛肉、豚肉、乳製品などが含まれる。特に北海道では多数の酪農場が存在し、牛が飼育されているが、全国の畜産業は高齢化が進み、経営者不足が問題視されている。国内の牛肉需要は高まっているものの、アメリカやカナダからの輸入制限も存在し、輸入牛肉の多くはオーストラリアからとなっている。

さらに、乳製品の生産は増加傾向にあり、2015年には生乳生産量が741万トンに達したが、放牧牛の頭数は減少している。肉牛の生産は減少し、代わって、鶏肉の生産は記録的な水準に達するなど変化が見られる。

林業の現状

日本の国土の約三分の二は森林であり、その40%はスギやヒノキなどの植林地である。この森林は戦後に建材供給を目的に植樹されたものであるが、経済成長が進む中で木材需要は減少し、鉄筋コンクリートなどに切り替わっている。木材生産量は2015年に200万立方メートルに達するも、GDP寄与は0.04%と微小で依然として課題が残る。

水産業の現状

水産業も日本の重要な産業の一つで、1973年のエネルギー危機以降、深海漁業の漁獲量は減少傾向にある。1980年代には国内漁獲量の半分が外国からのもので占められるようになり、漁業の輸入は増加傾向にある。

また、養殖技術も進化しており、アユやサーモンなどの漁業が行われている。大手漁業企業があり、近年の漁業生産高は2015年に469万トンにおよび、引き続き水産業は価値の高い食材の供給源として多くの人々に支持されている。

今後の展望

日本の農林水産業は、様々な課題に直面しているが、新しい技術の導入や経営の効率化を図ることが求められている。政府は農業の持続可能な発展を促進するために様々な施策を実施しており、未来の日本農林水産業を支える人材育成や、農業経営の改革が重要なテーマとなっている。

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