漁業

漁業（ぎょぎょう、Fishery）

漁業は、営利を目的として水産動物や水産植物を捕獲または養殖する産業であり、水産業の一環として位置づけられています。この活動には、専門的に漁撈を行う漁師が従事しており、地域社会や経済に多大な影響を及ぼしています。漁業は、公共の水域を利用するため、様々な法律や規制に基づき行われています。

漁業の分類

漁業は主に漁場や漁法、漁獲物の種類に基づいて分類されます。例えば、漁場による分類では、淡水漁業、沿岸漁業、沖合漁業、遠洋漁業といったように分けられます。また、漁法による分類には網漁業、釣漁業、雑漁業が含まれ、各種の漁法や器具が適用されます。日本では、海面漁業と内水面漁業に大別され、漁業権の取得や規制が厳格に行われます。

漁業の歴史

世界における漁業は、16世紀のオランダによるニシン漁から始まり、その後北アメリカやスコットランドにも拡大しました。日本においても古代から漁業が行われており、縄文時代の遺跡から漁具の痕跡が見つかっています。中世に入ると漁業は専門化し、商業活動の一部として組織されていきます。江戸時代には遠洋漁業が盛んとなり、さまざまな漁法が全国に広まりました。近現代においては、経済成長に伴い水揚げ量が増加し、特に近海での漁業が活発化しましたが、資源管理や環境問題が取りざたされています。

現代の漁業の課題

今日の漁業は、乱獲や環境破壊、漁業資源の枯渇などの深刻な問題に直面しています。日本の漁業は一時的には世界一の漁獲量を誇っていましたが、現在では国際競争や環境規制により漁獲量が減少しています。また、漁業補助金が存在するものの、漁業が衰退傾向にある現実も抱えています。

持続可能な漁業を目指す動きとして、近年は「育てる漁業」という考え方が進められています。これには、放流や養殖を通じて安定した水産物供給を図る取り組みが含まれます。日本での例では、近畿大学が世界初のクロマグロ完全養殖に成功し、これが話題となりました。

環境への影響

漁業は環境にも悪影響を与えており、プラスチックごみの問題や炭素の放出が心配されています。海洋環境の劣化を食い止めるために、国際的な協力や法律の整備が求められる状況です。加えて、養殖漁業の動物福祉への影響も重要な課題となっています。

漁業の未来を考える上で、持続可能な開発や環境保護の観点から、業界全体の見直しが急務であると言えるでしょう。

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