日本の雇用史

日本の雇用史

日本の雇用史は、明治維新から現在にかけての労働市場の変遷を示すものであり、特に新卒主義や年功序列制度がもたらした影響は深刻です。明治時代以降、学生は大学卒業後に個々に就職を試みることが一般的であり、その求職方法は多岐にわたりました。転職率は極めて高く、1年間における労働者の転職率が100%を超える時代もありました。転職の常態化は社会的な問題に発展し、政府の関心を引く結果となりました。

戦後からバブル崩壊前

新卒主義の確立

第二次世界大戦後、大量の復員によって日本の労働市場は混乱を極めました。この混乱を収束させるために、1947年には職業安定法が制定され、国が雇用を全面的に管理することとなりました。特に、学生に対しては一人一社主義に基づいて国が在学中からの就職先を斡旋する方法が採用されました。これにより新卒者は就職活動で苦労せずに済むようになり、企業側も新卒者を対象とした一括採用を行うようになりました。この新卒至上主義は、今日の日本の雇用システムに色濃く影響を与えています。

年功序列制度の誕生

1950年代半ばからは高度経済成長期に突入し、高校進学率が急上昇しました。在学中の学生たちはスムーズに就職でき、様々な職業選択肢を持つことができました。地元の家業を継ぐ道や職人に弟子入りする選択肢もありました。職業安定所の役割が薄れる中、学生は主に学校の斡旋を通じて新卒の段階で就職し、再就職や転職の際には職業安定所に紹介を受ける流れが定着しました。

企業は、毎年4月1日に新卒者を一括入社させるシステムを維持し、その結果、労働者の昇進や給与は勤続年数や年齢に応じて決まる年功序列制度が確立されました。この制度は、経済成長を背景に物価高騰とともに更新され、多くの企業に受け入れられました。

最盛期と崩壊

1980年代半ばから1991年のバブル経済まで、日本は好景気に沸き、企業が新卒者を優遇する傾向が見られました。この時期、企業は新卒者が少ない学生に対してオファーを出すことが容易で、大手企業に簡単に就職できた人も多かったのです。

しかし、1991年のバブル崩壊を境に、雇用のシステムは徐々に機能不全に陥りました。企業業績が悪化する中、年功序列制度の維持が困難となり、人件費の高騰が問題視されるようになりました。これにより、多くの企業が中高年層のリストラを進め、高卒者の採用を削減するようになりました。

非正規雇用と就職氷河期世代

その後、企業は年功序列と成果主義を組み合わせた新たな雇用形態に移行し、派遣社員などの非正規雇用が増加しました。これは特に正規雇用が難しい高齢者や若者には厳しい現実をもたらしました。就職氷河期が長引く中で、新卒者が優遇される一方で、リストラされた中高年労働者や失業歴のある若者は再就職が困難な状況に置かれました。これにより、彼らは「ロストジェネレーション」として言及されるようになりました。

日本の雇用史を振り返ると、明治以来の歴史的な背景や制度が現在の労働市場にも大きな影響を与えていることが分かります。これからの日本の労働市場は、これらの課題をどう解決していくのかが問われています。

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