日本アイ・ビー・エム野洲硬式野球部

概要

滋賀県野洲郡野洲町（現在の野洲市）を本拠地として活動を展開した、日本野球連盟に所属する社会人野球の企業チームである。運営母体は日本アイ・ビー・エム。一般的には「日本IBM野洲」と称された。1980年の秋に設立されたチームは、2003年シーズン途中で活動を休止し、最終的に2008年に正式に解散、その歴史に幕を閉じた。

日本アイ・ビー・エムにおける硬式野球部としては、すでに活動していた東京のチームに続いて、野洲工場に創設された。戦後、滋賀県においては東洋レーヨンが社会人野球で活躍した時期があったものの、その活動停止以降、県内には全国的な舞台で注目されるような有力な企業チームが長らく存在していなかった。そうした状況の中、日本アイ・ビー・エム野洲は設立後わずか5シーズン目となる1984年に社会人野球日本選手権大会に初出場を果たし、さらに設立から8シーズン目の1987年には都市対抗野球大会にも初めて駒を進めるなど、急速に実力をつけ、滋賀県内の社会人野球界においては際立った存在感を示した。

しかしながら、全国大会への出場権を獲得するためには、特に予選において京都府の強豪チームとの厳しい戦いを勝ち抜く必要があった。この壁は高く、都市対抗野球大会への出場は4回、社会人野球日本選手権大会への出場は8回に留まった。それでも、日本選手権では1995年と1999年の二度、ベスト4に進出するなど、全国の舞台でも確かな足跡を残している。

歴史の終焉

チームの活動に終止符が打たれることになる契機は、2002年11月に発表された翌2003年の都市対抗野球大会終了をもって休部するという決定だった。そして、2003年の都市対抗野球大会京滋奈兵地区2次予選で敗退したことを受け、チームは予定されていた大会終了を待たずに活動を休止した。その後、チームの活動拠点であった野洲工場が2005年に京セラへ売却されたことにより、チームの復活は事実上不可能となった。そして、2008年 6月24日をもって、日本野球連盟から正式に解散が公示され、チームは廃部となったのである。

沿革

1980年：『日本アイ・ビー・エム野洲』としてチームが設立される。
1984年：社会人野球日本選手権大会に初めて出場（初戦敗退）。
1987年：都市対抗野球大会に初めて出場（初戦敗退）。
2003年：都市対抗野球の2次予選での敗退をもって、活動を休止（休部）。
2008年：チームが正式に解散される。

主な実績

全国規模の主要大会における最高成績や出場回数は以下の通りである。

都市対抗野球大会：4回出場
社会人野球日本選手権大会：8回出場、最高成績はベスト4（1995年、1999年）

また、JABA（日本野球連盟）主催の各種大会においても優勝経験がある。

JABA岡山大会：優勝1回（2002年）
JABA広島大会：優勝1回（2001年）
JABA伊勢大会：優勝1回（1987年）

チーム出身のプロ野球選手

日本アイ・ビー・エム野洲からは、複数の選手がプロ野球へと進んでいる。

長坂健冶（捕手）：2001年のドラフト会議で8位指名を受け、大阪近鉄バファローズに入団。
中村泰広（投手）：2002年のドラフト会議で4位指名を受け、阪神タイガースに入団。
竹岡和宏（投手）：チーム退団後、中山硬式野球クラブやアメリカの独立リーグであるセントポール・セインツを経て、2003年のドラフト会議で8位指名を受け、福岡ダイエーホークスに入団した。

所属した元プロ野球選手

元プロ野球選手が選手として所属した例もある。

萩原誠（元：阪神タイガース、大阪近鉄バファローズ）：内野手としてチームに所属したが、その後退団している。

日本アイ・ビー・エム野洲硬式野球部