日本アナキスト連盟

日本アナキスト連盟：戦後日本のアナキズム運動とその系譜

日本アナキスト連盟（略称：アナ連）は、第二次世界大戦後の日本において活動したアナキスト組織です。戦前の日本アナキズムは大きく分けて「アナルコ・サンジカリズム」系と「純正アナキズム」系の二つの潮流がありましたが、アナ連は前者、アナルコ・サンジカリズムの流れを汲む組織でした。

1946年2月、アナ連は設立されました。初代委員長には岩佐作太郎、書記長には近藤憲二が就任し、石川三四郎らも中心メンバーとして参加しました。掲げた理念は「反権力」「無支配」。既存の権力構造への抵抗と、自由で平等な社会の実現を目指した運動を展開しました。

アナ連の活動の中心は、機関紙『平民新聞』の発行でした。（明治時代の平民社が発行していたものとは別です）。この機関紙を通じて、アナキズム思想の啓蒙、普及に努めました。しかしながら、アナキズム思想の啓蒙活動以外に、目立った大規模な社会運動や政治活動を行うことはありませんでした。

具体的な活動内容については、歴史資料の不足などから詳細な情報が限られています。しかし、当時の社会状況やアナキズム運動の状況を踏まえると、大衆への浸透が難しかったこと、また、戦後の混乱期において政治運動を展開する上で様々な困難があったことが推測されます。

1970年前後には、アナ連は活動を停止し、事実上解散しました。しかし、アナ連の思想と活動は完全に終焉を迎えたわけではありません。後継組織として設立されたのが「麦社」です。麦社は、アナ連の理念を受け継ぎつつ、新たな時代におけるアナキズム運動のあり方を模索しました。

特に注目すべきは、1960年代後半の全共闘運動との関わりです。アナ連の系譜を受け継ぐ麦社は、学生運動の中において、自由社会主義評議会（CSL）を形成し、学生運動の中にアナキズム的視点を取り入れようと試みました。全共闘運動は、様々な思想や運動が入り混じった複雑なものでしたが、アナ連から連なるアナキズムの潮流もその一部を担っていたと言えるでしょう。

このように、日本アナキスト連盟は、戦後日本のアナキズム運動において重要な役割を果たしました。その活動は、直接的な社会変革をもたらす規模のものではなかったものの、アナキズム思想の普及に貢献し、後のアナキズム運動や学生運動に影響を与えたことは間違いありません。アナ連の歴史を振り返ることは、戦後日本の社会運動史、そしてアナキズム思想の歴史を理解する上で欠かせない要素となるでしょう。また、アナキスト革命連合などの関連組織との関係性についても、今後の研究が待たれます。 アナ連の活動や思想をより深く理解するためには、当時の社会状況や政治情勢を考慮した上で、残された資料を丁寧に分析していくことが重要です。

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