日本ウイルス学会

日本ウイルス 学会

日本ウイルス学会（にほんういるすがっかい、英語名称: The Japanese Society of Virology）は、1953年に設立された、日本を代表するウイルス学の学術団体です。設立以来、日本のウイルス研究を牽引し、ウイルス感染症の解明と制御、さらには公衆衛生の向上に多大な貢献をしてきました。日本医学会に加盟しており、関連分野における学術研究の推進、情報交換、そして人材育成を活動の主軸としています。

設立経緯と歴史

当学会の歴史は、1949年に遡ります。当時は「ヴィールス談話会」として研究者たちが集まり、ウイルスの知見を共有する非公式な場が設けられていました。この談話会が発展的に解消される形で、1953年に「日本ウイルス学会」として正式に設立されました。これは、戦後の混乱期を経て、ウイルス学研究が学術分野として確立されつつあった時期にあたります。以来、学会はウイルス学、微生物学、感染症学といった幅広い分野の研究者を結集させ、その活動範囲を拡大してきました。

会員構成と規模

現在、日本ウイルス学会には約3,000名の会員が所属しています。その構成は多様で、ウイルス学、感染症学、獣医学などを専門とする医学者、医師、獣医師、さらには大学や研究機関の博士研究員など、多岐にわたる専門家が集まっています。これらの会員は、基礎研究から臨床応用、公衆衛生対策に至るまで、それぞれの立場でウイルスに関する最先端の研究や実務に携わっています。学会は、これらの専門家が知見を交換し、連携を深めるための重要なプラットフォームを提供しています。

主な活動内容

学会は、設立目的に沿って多岐にわたる活動を展開しています。

年次総会

毎年1回、定期的に総会を開催しています。この総会は、学会員が一堂に会し、最新の研究成果を発表・共有し、活発な議論を交わす最大の機会です。国内外から多くの研究者が参加し、ウイルス学および関連分野の発展に寄与する重要な情報交換の場となっています。

学会誌の発行

学会の公式学術誌として「ウイルス」（ISSN:0042-6857）を年2回発行しています。1958年に創刊された本誌には、ウイルスに関する独創的な研究論文や総説などが掲載されており、日本のウイルス学研究の重要な情報源として国内外の研究者に利用されています。国立国会図書館の請求番号はZ19-501です。

学会賞による奨励

将来性のある若手ウイルス研究者を奨励するため、「日本ウイルス学会杉浦奨励賞」を設けています。この賞は、優れた研究業績を挙げた若手研究者に授与され、その後の研究活動を支援することを目的としています。歴代の受賞者の中には、現在日本のウイルス学や関連分野の第一線で活躍している研究者が数多くいます。

専門医認定への貢献

学会は、感染制御の専門家である「インフェクションコントロールドクター（ICD; infection control doctor）」の認定制度にも関与しています。これにより、医療現場における適切な感染対策の普及と質の向上に貢献しています。

その他の活動

上記のほかにも、ウイルス感染症に関する研究の推進、関連する国内外の学術団体との連携、一般市民への情報提供など、幅広い活動を通じて社会への貢献を目指しています。

入会について

日本ウイルス学会への入会は、ウイルス学および関連分野に携わる方々に対して開かれています。会員種別は、主に正会員、学生会員、賛助会員があり、それぞれ年会費が定められています。正会員の年会費は10,000円、学生会員は4,000円です。賛助会員は一口50,000円（一口以上）となっています。正会員および学生会員として入会する際には、年会費に加えて入会金1,000円が必要となりますが、賛助会員に入会金は発生しません。多様なバックグラウンドを持つ新しい会員の参加を歓迎しています。

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