日本カトリック神学院

日本カトリック神学院（にほんカトリックしんがくいん）は、日本のカトリック教会において、将来の司祭を養成することを目的とした高等教育機関、すなわち神学校です。その歴史は古く、名称や組織形態は時代とともに変遷を遂げてきました。

この神学院の起源は、1872年に東京で開設されたラテン学校に遡ります。その後、移転を経て、1929年には上石神井の地に「東京公教大神学校」、別名「聖フランシスコ・ザベリオ神学校」として確立されました。第二次世界大戦後、1948年にはバチカンの布教聖省から「（旧）東京カトリック神学院」として正式に認可を受けるとともに、同年にサン・スルピス大神学校も別に創立されました。1970年には、日本カトリック司教団の直接運営体制へと移行しています。

大きな転換期となったのは2009年です。当時存在していた（旧）東京カトリック神学院と福岡サン・スルピス大神学院が統合・合併し、新たに「日本カトリック神学院」が開校しました。開校当初は、旧東京カトリック神学院の校舎を東京キャンパス、旧福岡サン・スルピス大神学院の校舎を福岡キャンパスとし、異なる場所に学舎を置く形態でした。この期間（2009年4月～2019年3月）には、東京キャンパスでは主に哲学課程の1・2年生と助祭（神学科4年）の養成を、福岡キャンパスでは神学課程の1～3年生の養成が行われていました。2012年4月1日からは、カトリック中央協議会の組織として運営されることになります。

しかし、この統合体制は10年で変化を迎えます。2019年4月、日本カトリック神学院は再び二つの神学校へと分離・分割されました。東京キャンパスは「東京カトリック神学院」として、福岡キャンパスは「福岡カトリック神学院」として、それぞれ独立した諸教区共立神学校（Inter-Diocesan Seminary）となったのです。この分離期間（2019年4月～2024年3月）において、福岡カトリック神学院は主に長崎教会管区（長崎大司教区、福岡司教区、大分司教区、鹿児島司教区、那覇司教区）からの司祭志願者の養成を担い、東京カトリック神学院はそれ以外の教会管区からの志願者を受け入れるという分担体制がとられていました。

そして直近の2024年、再び統合への動きが進みます。同年3月7日には教皇庁福音宣教省により日本カトリック神学院の設立が改めて認可され、東京と福岡の二つの神学校は再度統合されることとなりました。これにより福岡カトリック神学院は閉校し、東京カトリック神学院が名称を変更する形で、再び「日本カトリック神学院」として発足しました。2024年4月以降は、東京教会管区、大阪・髙松教会管区、そして長崎教会管区の三つの教会管区が共に支える共立神学校として位置づけられ、福岡で学んでいた神学生も東京に移籍して養成を受けることになっています。

司祭養成に必要な期間は、教会法の規定により通常7年間とされています。入学資格は原則として、高等学校卒業程度以上の学力を有し、洗礼を受けてから3年以上経過していること、そしてカトリックの司祭（教区司祭または修道会・宣教会司祭）を目指す独身の男子カトリック信徒で、年齢が22歳から40歳までであることが条件とされます。修道者が入学する場合もあります。なお、配偶者と死別している場合は独身とみなされますが、扶養家族がいる場合は原則として入学が許可されません（ただし、助祭叙階後に終身助祭として結婚が許される場合もあります）。これらの条件に加え、志願者は所属する小教区の主任司祭からの推薦を得た上で、教区の司教による面接と推薦が必須となります。

現在の日本カトリック神学院は東京に集約されており、2024年12月現在、神学生数は修道会からの聴講生を含めて23名です。現在の院長は東京教区司祭である稲川圭三神父が務めています。神学院では、年に一度「ザビエル祭」と呼ばれる神学院祭が開催されており、ミサやバザー、神学院の紹介ツアーなどが一般にも公開されています（2024年は11月23日に実施）。

このように、日本カトリック神学院は幾度かの組織再編を経ながらも、日本のカトリック教会における司祭養成という重要な使命を担い続けています。

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