日本ゲートウェイ

日本ゲートウェイ：華々しい進出と突然の撤退

日本ゲートウェイ（設立当初は「日本ゲートウェイ弐千」）は、アメリカのコンピュータ製造大手ゲートウェイ社の日本法人として、1995年9月に設立されました。当時、アメリカ市場でBTO（注文生産）方式で成功を収めていたゲートウェイは、その100%子会社として日本市場へ参入しました。

日本市場への積極的な展開

日本ゲートウェイは、個人向けには本国と同様にBTO方式を採用し、直営店「ゲートウェイカントリー」、ECサイト、電話を通じて販売を行いました。法人向けには、東京、大阪、札幌などの主要都市に営業オフィスを設置し、三菱電機や富士電機などのベンダー経由で販売を展開しました。また、2000年にはソニーやリコーなどの大手顧客向けにECサイト「Gateway Enterprise Express」を提供するなど、オンライン直販も開始しました。

さらに、伊東美咲やEvery Little Thingを起用したテレビCMや、無料冊子の大量配布など、積極的な広告戦略を展開しました。一時は全国に数十店舗の直営店を構え、日本国内の販売シェアを急速に拡大しました。1998年10月にはプロバイダ事業「ゲートウェイネット」を開始し、クレジットカード事業やパソコンの出張レッスン、法人向けビジネスソリューション事業にも進出しました。

高い評価と日本市場への注力

日本ゲートウェイは、「日経パソコン」誌のパソコンメーカーサポートランキングで3年連続1位を獲得するなど、ユーザーサポートに定評がありました。また、ユーザーの用途に合わせて高性能なパソコンを格安で提供できるBTO方式も、ハイエンドユーザーから高い評価を得ていました。

日本市場を重視し、日本独自のラップトップモデルや法人向けデスクトップモデルを開発・販売したことも、特筆すべき点です。これは、アメリカ本国以外では日本のみの戦略でした。

突然の撤退と市場への影響

しかし、2000年頃から、デルコンピュータやコンパック、ヒューレット・パッカードなどとの競争激化により、親会社であるアメリカ本社の経営が急速に悪化しました。2001年初頭から、世界的に事業縮小が計画され、日本国内の新規プロジェクトも凍結されました。

同年8月には、シンガポール、イギリス、オーストラリアなどの海外市場から突然撤退し、日本市場からの完全撤退も発表されました。この大規模なリストラにより、全世界の従業員の25%が削減され、年間約3億ドルのコスト削減が図られました。しかし、撤退発表が事業停止当日であったため、多くの取引先や顧客、従業員に大きな混乱をもたらしました。

日本ゲートウェイの撤退は、日本のパソコン市場の価格低下に大きな影響を与え、多くのパソコンユーザー、特にハイエンドユーザーはその撤退を惜しみました。日本ゲートウェイ撤退後、デルコンピュータは価格を下げる頻度が減り、多くの顧客がデルに移行したため、デルコンピュータは一時的に大きく収益とシェアを伸ばしました。

撤退時の陣容

撤退時の本社は、神奈川県横浜市保土ケ谷区の横浜ビジネスパーク内にありました。当時の従業員数は約800名で、会長はエドワード・J・ナイハイゼル氏が務めていました。直営店は、秋葉原、新宿、立川など主要都市に展開していました。

再進出と買収

2004年1月、アメリカ本社は、低価格を売りにするeMachines社を買収し、再びアメリカ市場でのシェアを3位に引き上げました。同年12月には、eMachines社の流通網を利用して日本市場に再進出を果たしました。しかし、親会社の勢いが以前ほどなかったことや、前回の突然の撤退劇に対する旧ユーザーの拒否反応が大きく、中小メーカーの域を脱することができませんでした。

2007年10月、日本ゲートウェイは台湾のエイサーに買収され、その歴史に幕を閉じました。

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