日本セルビア映画祭

日本セルビア映画祭（JSFF）は、セルビアのベオグラードと日本の東京を舞台に、映画を通じた文化交流を促進するイベントです。この映画祭は、当初は日本の短編映画に焦点を当てたものでしたが、時を経て、両国の豊かな映画コンテンツを世界に発信する重要なプラットフォームへと成長しました。

JSFFは、セルビアの芸術文化発展協会カルトクレイヴによって組織・運営されており、南ヨーロッパにおける現代日本映画を代表するイベントとして、その地位を確立しています。多くの映画監督にとって、この映画祭は作品の認知度を高め、キャリアをスタートさせるための重要な足がかりとなっています。

歴史

2014年 - 日本短編映画祭としてのスタート

第1回JSFFは、ジャパニザムとの共同企画として、ベオグラード青少年センターで開催されました。このイベントでは、日本のインディーズ短編映画の上映に加え、振付師の福森ちえみによるパフォーマンス、映画評論家のネナド・ドゥキッチによるスピーチが行われました。また、上映作品の監督の一人である今関あきよし氏は、その後もJSFFの審査員やゲストスピーカーとして、継続的に関わっています。

2015年 - 日本セルビア映画祭への改称

2年目のJSFFは、より幅広い視野を持つことを目指し、「日本セルビア映画祭」と改称されました。この年からは、毎年テーマとなるキーワードを設定し、そのテーマに沿った映画を両国から選出して、ベオグラードと東京の二都市で上映する形式が採用されました。この年のテーマは「アイデンティティ」でした。

2016年 - ユーゴスラビア映画アーカイブでの開催

第3回からは、ベオグラードのユーゴスラビア映画アーカイブをメイン会場として使用しています。この年のテーマは「献身」であり、ベオグラードのFSU（現代芸術学部）の学生による漫才や、日本のバンド101Aによるパフォーマンスで幕を開けました。

2017年 - 多様なコンテンツの導入

この年からJSFFは、日本とセルビアのアーティストによる共同展示や、パネルディスカッションなど、さらに多様なコンテンツを取り入れました。特に、「タブートーク」と題した、境界をテーマにした双方向ライブイベントが注目を集めました。

2018年 - 「比較可能な将来」をテーマに

第5回のJSFFでは、テーマを「ビジョン」とし、未来の社会、技術、政治、トレンドに関する議論が活発に行われました。著名なジャーナリストのヤクシャ・シュチェキッチが映画セレクションに共鳴する質問を投げかけ、東京でのオープニングセレモニーでは、両国のミュージシャンが対照的なスタイルで共演しました。

2019年 - 日本映画の重要性を強調

第6回JSFFでは、映画評論家のサンドラ・ペロヴィッチが審査員長を務めました。彼女は、日本の映画が持つ国際的な影響力と作品力なくしては、この映画祭は存在し得ないと強調しました。特別ゲストには映画監督の今関あきよし氏、審査員には大島葉子氏が迎えられ、最優秀作品賞を3度受賞したオグニエン・ペトコヴィッチ氏が、JSFFで最も栄誉ある監督として称えられました。

2020年 - パンデミックと「ケア」

世界的なパンデミックに対応するため、JSFFはプログラムテーマを「ケア」としました。この年は、初の長編映画が導入され、従来の賞に代わって、困難な状況に対する認識を高めた作品が評価されました。この年は、組織上の理由からベオグラードのみでの開催となりました。

2021年 - 「ステータス」をテーマに

「ステータス」をテーマとしたこの回では、パンデミックに立ち向かうJSFFの強さを示すため、従来の賞が復活しました。プログラムには引き続き長編映画が取り入れられ、映画監督のフィリップ・マッキー氏とのQ&Aセッションも行われました。

2022年 - ヨーロッパ文化首都ノヴィサドでの開催

この年のJSFFは、ヨーロッパ文化首都2022に選ばれたノヴィサド市との連携により、ベオグラードと東京に加えて、ノヴィサドでも開催されました。70以上の作品が上映され、テーマは「カルトフロンテーション」（文化との対峙）でした。新たにEAWB（東アジア・西バルカンおよび世界）というカテゴリーが設けられ、2つの国、2つの地域、そして世界へと対話を広げ、14の賞が授与されました。また、日本セルビア友好140周年を記念し、在セルビア日本大使館の勝亦孝彦大使によるスピーチ、キノ・マクヒューによる振付、Noah（101A、IGNIS）によるソロパフォーマンスも行われました。さらに、プロデューサーのルドルフ・ビアマン、女優のハナ・ヴァグネノヴァ、読売テレビ代表など、多くの著名なゲストがイベントを盛り上げました。

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