日本ロケット協会

日本ロケット協会（JRS）

日本ロケット協会（にほんロケットきょうかい、英語名：Japanese Rocket Society, JRS）は、宇宙科学技術の進展と普及啓発、さらにはその発展に貢献することを目指して、1956年に創設された任意団体です。日本の宇宙開発を支える組織の中でも、最も長い歴史を誇る団体の一つとして知られています。

設立と沿革

当協会は、日本のロケット開発の父として知られる糸川英夫氏らが中心となり、日本の宇宙開発の黎明期である1956年9月4日に設立されました。設立当初は糸川氏が初代の代表幹事を務め、日本の宇宙科学技術の研究・開発推進に向けた活動を開始しました。

設立から間もない1958年には、国際宇宙航行連盟（IAF）への加盟を果たし、国際的な舞台での情報交換や協力関係の構築にも早期から積極的に取り組んでいます。IAF加盟の際には、当時IAFに参加していた別の団体「日本宇宙旅行協会」の活動（火星の土地分譲など）について、設立に関わった人物が批判的な見解を示したとする説も存在します。

組織体制については、設立以来代表幹事制をとっていましたが、1974年に会長制を施行し、代表者の呼称を「会長」に変更しました。第13代代表幹事を務めていた近藤次郎氏が、この制度変更に伴い初代会長に就任しました。

その後の活動においても、宇宙科学技術の発展に資する様々な取り組みを進めてきました。例えば、1993年には未来の宇宙輸送システムに関する研究プロジェクトである「宇宙丸プロジェクト」の研究実施に携わるなど、具体的な技術開発の検討にも関与しています。また、1999年には日本学術会議から学術研究団体として正式に登録されるなど、学術的な貢献も高く評価されています。

主な活動内容

日本ロケット協会は、設立目的に基づき、多岐にわたる活動を展開しています。その中心的な活動の一つとして、宇宙科学技術に関する情報交換や研究成果の発表の場を提供しています。アジア太平洋地域における宇宙関連の重要な国際会議である環太平洋国際宇宙会議（ISCOPS）を他の機関と共催するなど、国内外の専門家が集う学術集会や講演会を積極的に開催しています。

また、専門的な研究成果を掲載する英文論文誌「Journals of Science and Technology of Space (JSTS)」や、会員向けの情報誌「ロケットニュース」などを定期的に刊行しており、最新の研究成果や業界の動向、協会の活動状況などを広く発信しています。これらの刊行物は、研究者や技術者だけでなく、宇宙に関心を持つ一般の人々にとっても貴重な情報源となっています。

国際連携も重要な活動の一つであり、国際宇宙航行連盟（IAF）の総会へ継続的に参加しています。これにより、世界の宇宙開発の潮流を把握し、日本の立場や研究成果を発信するとともに、国際的な協力関係の構築・維持に努めています。これらの活動を通じて、日本の宇宙科学技術が世界の発展に貢献することを目指しています。

まとめ

日本ロケット協会は、日本の宇宙開発の歩みと共に歴史を刻んできた団体として、その設立以来、宇宙科学技術の進歩と普及、発展のために重要な役割を果たしてきました。草創期における研究開発の推進から始まり、今日では国際会議の共催、専門誌の発行、国際交流などを通じて、学術・技術の両面から日本の宇宙活動を支える基盤となっています。今後も、長年培ってきた経験とネットワークを活かし、日本の宇宙科学技術のさらなる発展に貢献していくことが期待されています。

（注：記事中の「火星の土地分譲」に関する記述は、一部で伝えられる説に基づくものです。）

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