日本ロシア正教伝道会社

日本ロシア正教伝道会社は、19世紀後半にロシア正教会が日本における正教の伝道を目的として設立した組織です。その設立は、ニコライ・カサートキンの尽力によるところが大きいとされています。

1868年、ニコライ・カサートキンは一時帰国中に、ロシア正教会の聖務会院において主教品の首席であった府主教イシドルから、伝道会社設立の許可を得ました。この許可が、日本における組織的な伝道活動の基礎となりました。

1870年には、ニコライ自身が掌院に昇叙され、日本における伝道会社の首長に任命されました。これにより、ニコライは伝道活動の責任者として、より中心的な役割を担うことになります。日本ロシア伝道会社は、カムチャツカ主教の統率下に置かれ、組織的な運営が行われました。伝道活動を支える資金として、年間6,000ルーブルの援助がロシアから送られました。当時の6,000ルーブルは決して少額ではなく、伝道活動の推進に大きく貢献したと考えられます。

日本ロシア正教伝道会社は、ニコライの指導のもと、教会の設立、聖職者の育成、そして信徒の獲得に力を注ぎました。その活動は、日本の正教会の礎を築き、現在に至るまでその影響を残しています。ニコライ自身は、後に大主教に昇叙され、日本の正教会の発展に生涯を捧げました。

日本ロシア正教伝道会社の設立と活動は、単に宗教的な伝道に留まらず、文化交流の側面も持っていました。ロシアの文化や思想が日本に伝えられ、日本の社会にも影響を与えました。正教会の聖堂や修道院は、日本の風景に異国情緒を添え、人々の関心を集めました。

参考文献

『日本キリスト教大事典』教文館、1988年
高橋昌郎『明治のキリスト教』吉川弘文館、2003年

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