聖務会院

聖務会院（せいむかいいん）とは

聖務会院は1721年に設立され、1918年にモスクワ総主教庁が復活するまでの間、ロシア正教会を統率した最高機関です。ロシア語では「Святейший Правительствующий Синод」と呼ばれ、日本語では「宗務院」としても知られていますが、通常「シノド」とだけ表現されることもあります。ただし、「シノド」は一般名詞であり、聖務会院以外の機関を指すこともあるため、注意が必要です。

聖務会院の設立

聖務会院は、ピョートル1世の教会改革の一環として、1721年1月25日に設置されました。それに伴い、モスクワ総主教庁が廃止され、教会組織は新たな形態で管理されることになりました。この機関は教会のメンバーや世俗の任命者から構成されており、サンクトペテルブルク府主教、モスクワ府主教、キエフ府主教、そしてグルジアのエクザルフがその一端を担っていました。最初は12人の教会側メンバーがいましたが、その数は歴代の皇帝により変更されていました。

統治と改革

聖務会院は、ツァーリの絶対的な権力の下で運営されており、世俗の人間と教会関係者が協力して教会の統治が行われました。この統治モデルは、ピョートル1世が西欧の教会制度を視察した際に、英国国教会やドイツのプロテスタント教会から着想を得たもので、正教会にとっては前例のないものでした。そのため、ロシア正教会を含む現代の正教会からは、ピョートル1世の改革とそれによって生まれた聖務会院に対する評価は非常に低いのが現状です。

20世紀における矛盾

20世紀初頭、ロシア正教会内では改革への欲求が高まっていましたが、この時期の聖務会院の総裁であるコンスタンチン・ポベドノスツェフ（俗人の官僚）は、モスクワ総主教座の復活や他の教会改革に対して否定的な態度を示していました。彼の態度は、ロシア正教会の改革が進まない一因ともなり、教会における変革は遅延しました。

結論

聖務会院はロシア正教会の歴史において重要な役割を果たしましたが、その運営は時代の変遷とともに批判され続けました。ロシア帝国下の権力構造や宗教的な実権のあり方を反映したこの機関の存在は、正教会の発展における矛盾を示し、今後の改革の方向性に影響を与えました。

もう一度検索