日本丸 (初代)

日本丸とは

日本丸（にっぽんまる、英: Nippon Maru）は、日本が誇る大型の航海練習船であり、4檣バーク型の帆船です。1930年1月27日に兵庫県神戸市の川崎造船所で進水し、その美しいフォルムから「太平洋の白鳥」や「海の貴婦人」と呼ばれることもありました。約半世紀の間、多くの実習生を訓練し続け、1984年に役割を日本丸II世に引き継いで引退しました。2017年には国の重要文化財に指定され、現在は横浜市西区の日本丸メモリアルパーク内に保存されています。

設計・建造の背景

昭和初期、日本の商船教育機関には官立・公立の商船学校が存在しましたが、公立商船学校の中で練習船を所有する学校はわずか5校に過ぎませんでした。これらの船は小型の木造船であり、海難事故の多発が社会問題となっていました。このため、1925年から文部省では大型練習船の建造が検討されましたが、第一次世界大戦後の経済不況が影響し、実現には至りませんでした。

1927年には「霧島丸」という練習船がほぼ全乗組員を失う大事故が発生し、さらに国会での議論を呼びました。この事件をきっかけに、1930年には文部省より日本丸およびその姉妹船の海王丸が建造されることとなります。設計はスコットランドの会社が担当し、神戸の川崎造船所で建造されました。

航海の歴史

日本丸は進水後、初の遠洋航海をミクロネシアのポナペ島へ行いました。その後、太平洋戦争中には物資輸送の任務を果たし、戦後は連合国軍の管理下で訓練航海を行いました。1945年の復員船としての任務では、多くの帰還者を運ぶ役割を果たしました。

1952年には、自らの帆装を復旧し、南方八島への遺骨収集航海にも参加しました。その後、1970年代には大規模航海を行い、特に1976年のアメリカ建国200年祭や1978年のキャプテンクック200年祭にも参加しました。1983年の大阪帆船まつりではホストシップを務め、その美しい航海人生に幕を下ろしました。

退役後の保存と文化財指定

1984年には日本丸II世とその役割を交換し、長い航海生活に終止符を打ちました。その後、1985年から横浜市の所有となり、日本丸メモリアルパークで一般公開されるようになりました。1998年には大規模修繕を受けましたが、以降の老朽化が問題視されるようになりました。

2017年には国の重要文化財に指定され、2018年からは大規模修繕が実施されました。これにより、日本丸の保存と活用が図られ、再び多くの人々にその魅力を伝える場となっています。毎年の定期検査を通じて、航行可能な船舶としての資格を保ちながら、多くの訪問者を迎え続けています。

結論

日本丸は、その美麗なデザインと長い航海歴史を持つ日本の宝であり、現在も横浜で多くの人々に親しまれています。その存在は、日本の海洋教育の重要性や海の文化を伝え続けるものとして、後世に語り継がれていくことでしょう。

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