日本共産党幹部宅盗聴事件

日本共産党幹部宅盗聴事件

日本共産党幹部宅盗聴事件は、1985年から1986年にかけて発生した、公安警察による重大な違法行為として知られています。事件の発端は、当時の日本共産党国際部長であった緒方靖夫が自宅の電話が盗聴されていることに気付き、1986年11月27日に日本電信電話（NTT）町田電話局に通報したことから始まりました。

事件の発覚

緒方宅の電話に異常な雑音や音質の低下がみられたため、調査を依頼したところ、電話の盗聴が行われていたことが確認されました。その設置場所は、緒方の自宅からわずか100メートルほどの距離にあるアパートでした。この発見を受けて、町田警察署は初めは捜査を拒否しましたが、後に捜査を受理し実況見分を行いました。しかし、この段階で警察が証拠を隠滅した疑いも持たれています。

検察の捜査

東京地方検察庁は、緒方からの告発を受けて早速捜査を開始しましたが、公安警察との関係性を考慮し特別捜査部が関与することとなりました。捜査の進展により、神奈川県警察の警備部によって1985年の夏から盗聴行為が行われていたことが明らかになりました。また、公安警察による非合法活動を統括する「サクラ」と呼ばれる部署の存在も浮上しました。この問題が広がる中、1987年には警察庁長官が国会で組織としての関与を否定する発言を行いましたが、その後すぐに関連する幹部が辞職する事態となりました。

法律的な争い

緒方は、警察官による行為が公務員職権濫用罪に当たると主張し、東京地方裁判所に付審判制度の適用を求めました。しかし、最高裁は警察官の盗聴行為が職権濫用には該当しないと判断しました。この判決は、職務として行われてはいるものの、警察官であることを隠す行動が続けられたため、不法行為として成立しないというものでした。

事件の影響

この事件は公安警察の諜報活動が公に知られる契機となり、世論を巻き込む大騒動に発展しました。地検は不起訴処分を決定するも、世間から厳しい批判にさらされ、検察への信頼も大きく揺らぎました。事件は法解釈や捜査手法、そして警察と検察の関係に対する再考を促し、1999年には「犯罪捜査のための通信傍受に関する法律」が制定されるに至りました。

現在の見解

時を経て、公安警察や関連する検察の行動にはさらなる検討が必要とされています。様々な公的な意見や再評価が行われ、今でもこの事件は日本の法制度において重要な教訓とされています。さらに、緒方とその支援者たちは、社会における情報の秘密保護や公務員職権の適切な行使について考えさせられる材料となっています。

もう一度検索