日本共産党第10回大会

日本共産党第10回大会の概要

日本共産党第10回大会は、1966年10月24日から30日にかけて東京の世田谷区民会館と大田区民会館で開催されました。この大会では、党の規約が改正されるとともに、重要な決定がいくつか下されました。特に、外国人党員の排除と新制度としての党員候補制度の導入が主要なテーマでした。大会中には、盗聴器が発見されるというトラブルも発生し、党内の緊張感を引き立てました。

外国人党員の排除

日本共産党は、戦前のコミンテルンの影響を受けて、一国に一つの共産党とする原則を強調していました。この結果、戦後合法化された後も在日韓国人や朝鮮人、中国系華僑など、多くの外国人が党に在籍していました。しかし、1960年代中頃になると、党内の派閥抗争が激化し、外国人党員がスパイとして派閥争いに利用される可能性が指摘されるようになりました。

このような背景の中で、当時の書記長であった宮本顕治は、「日本の変革と革命を目指す以上、日本共産党は日本国民のものであるべき」との観点から、外国人の入党を全面的に禁止することを決定しました。その結果、党の規約に「満18歳以上の日本人が党員となることができる」という条項が追加されました。後の第22回党大会では、この規約が整理され、外国人党員の問題は解消されていく方向に向かいました。

入党候補制度の導入

10回大会では新たに「党員候補制度」が導入されました。この制度の目的は、入党希望者の素性を厳格に見極め、質の高い党員を育成するためのものです。入党を希望する人は、入党費を納めた後、一定の期間「党員候補」として扱われ、その期間中に新入党者教育を受けることになりました。この制度によって、党員としてふさわしいかどうかが審査され、正式に党員と認定されるまでのプロセスが確立されました。

党員候補としての期間は、通常5ヶ月ですが、特定の階層の人に対しては8ヶ月に設定されていました。期間が終了した段階で所属支部での審査が行われ、地域の委員会に承認を求めます。承認が下りれば、正式に党員として認められることになります。この制度は、入党希望者が入党費や関連費用を納めない場合や、党にふさわしくない場合には不適格と判断されることもありました。

1980年には第15回党大会でこの党員候補制度が廃止され、新しい方針へと移行していくことになります。

結果と影響

第10回大会は、日本共産党にとって大きな転換期でした。外国人党員の排除と党員候補制度の導入は、党の構成を大きく変える要因となりました。この大会を通じて、党は日本国民に根ざす政党としての姿勢を強めようとしました。大会後も、誤解や意見の相違が残る中で、党は自己のアイデンティティを確立する努力を続けました。複雑な歴史を背負った日本共産党は、今なおその影響力を発揮し続けています。

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