日本労働組合総評議会

日本労働組合総評議会（総評）について

日本労働組合総評議会（にほんろうどうくみあいそうひょうぎかい）、通称「総評」は、1950年に設立され、1989年まで存在した日本における労働組合のナショナルセンターです。略称の「総評」は広く用いられ、戦後の労働運動において重要な役割を果たしました。設立当初、総評は日本社会党を支持し、多くの議員を輩出しましたが、その後の変化も興味深いものです。

背景と設立経緯

第二次世界大戦後、日本の労働運動は連合国軍最高司令官総司令部（GHQ）の指導の下で再出発し、経済の復興と社会状況の変化を反映した急進的な動きが見られました。当時、日本共産党は相当な影響力を持っており、労働運動の主導権を握ろうとしていました。しかし、冷戦が始まるにつれて、GHQは反共産主義的な姿勢を強化し、労働運動の方向性が変わることとなりました。これにより、1948年には公務員の争議権が剥奪されるといった厳しい状況が続きました。

こうした情勢の中、1950年7月11日に東京都港区で日本労働組合総評議会が誕生しました。この際、炭労出身の武藤武雄が初代議長に、都市交出身の島上善五郎が事務局長に選出されました。総評の成立にはGHQが背景にあることが強く、共産党との距離を置く方針が採択されました。

組織の発展と変遷

総評は設立からしばらくは右派的な色合いを持っていましたが、1951年の第二回大会では、従来の右派的なスタンスから路線を転換し、反戦や中立維持を求める方針を採択しました。これにより、総評は日本社会党との結びつきを強めました。特に1952年の第3回大会では、左派社会党への支持を明確にし、労働組合内でのパワーバランスが変わりました。

1958年、全国金属労働組合が総評に合流し、総評はより広範な組織として認識されていきます。1983年には49単産451万人が総評に所属し、全組織労働者の36%を占め、その多くは官公労働者でした。日本社会党を支持する運動を推進し、賃金決定機構として春闘を固める活動を行うようになりました。

解散とその後

1989年、総評は全日本民間労働組合連合会（後の連合）に合流する形で解散を決定しました。解散前の臨時大会では、将来の方向性についての議論が行われ、総評の政治的影響を受け継ぐ新たな組織として総評センターが設立されました。しかし、政治活動の整合性を保つのは難しく、次第に民主党へとリーダーシップが移行していきました。

影響と評価

総評は日本の労働運動の中で大きな存在感を示し、社会主義協会の影響を受けつつ、反戦平和や労働者の権利擁護に尽力しました。彼らの活動は、日本社会党と結びついており、両者の関係は長い歴史がありました。また、総評は労働組合としての役割のみならず、政治的緊張を孕んだ活動も多く、多くのメディアに注目を集めました。

総評の解散後も、旧総評系の労組は立憲民主党などの政治グループに参加し続けており、彼らの活動は今もなお日本の社会に影響を及ぼし続けています。このように、総評の存在は日本の労働史において重要な位置を占めているのです。

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