日本医療研究開発機構

日本医療研究開発機構（AMED）

国立研究開発法人日本医療研究開発機構、略称AMEDは、内閣府の管轄の下で運営される日本の国立機関です。主に医療分野の研究開発を促進するための一貫した支援体制を構築し、基礎研究から実用化までのプロセスを円滑に進めることを目的としています。これにより、医療の革新と実用化を加速することが期待されています。

機構の設立背景

AMEDは、2013年6月に策定された「日本再興戦略」に基づいて設立されました。それ以前は、医療研究に関する支援が文部科学省、厚生労働省、経済産業省などによって分散されており、統一した体制がありませんでした。このような状況下で、特に臨床研究や治験に関する問題が浮上していたため、研究開発の総合的な推進を担う組織が必要とされました。加えて、日本の医薬品や医療機器の貿易赤字が拡大している問題にも対応するため、AMEDが設立されました。

設置法では、世界最高水準の医療提供を目指すとともに、健康で長寿な社会の実現を目指した研究開発を行うことが規定されています。設立に際し、様々な科学団体から基礎研究予算の削減に対する懸念も表明されましたが、最終的には2015年に正式に発足し、安倍晋三首相の立会いのもとで除幕式が行われました。

研究開発の事業内容

AMEDの事業は多岐にわたり、医薬品創出や医療機器の開発、革新的な医療技術の創出、さらには再生医療やがん、感染症に関するプロジェクトを行っています。特に、子供の未診断疾患に対する治療法の開発などにも力を入れています。また、感染症に関する研究も行われており、国内未発売の抗寄生虫薬や熱帯病治療薬の備蓄と無償提供の拠点となっています。

2016年には、アメリカの国立衛生研究所（NIH）と提携し、海外に拠点を設けることを決定しました。これにより、国際的な連携を深め、より広範な研究環境を整備することを目指しています。また、感染症研究国際展開戦略プロジェクト（J-GRID）として新潟大学医学部がミャンマーに研究拠点を設立することも報告されています。

さらに、2017年には日本医療研究開発大賞が創設され、AMEDの理事長賞が授与されるなど、医療研究の成果を称賛する機会も増えています。

発足後の懸念

発足以降、様々な報道がなされており、特に新型コロナウイルスに伴うワクチン開発に関する懸念が挙げられています。最大のワクチン開発予算である約100億円が少数の社員を抱えるアンジェス社に交付されたものの、同社は早々に開発から撤退したという事実が指摘されています。また、アンジェス社の創業者との過去の関係も取りざたされており、その透明性についての懸念が高まっています。

著名な科学ジャーナリストである須田桃子氏は、内閣府主導のプロジェクトの運営に対する不信感を表明しており、AMEDの活動の透明性や効果について疑問を投げかけています。このような懸念は、今後の研究開発支援のあり方に影響を与える可能性があります。

結論

日本医療研究開発機構は、医療研究の重要な推進役として活動していますが、設立以来の懸念や課題について、今後の取り組みが求められています。研究開発の補助金や予算の使途についての透明性を確保し、医療分野の発展を図るための新たな体制づくりが必要です。

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