日本国勢図会

日本国勢図会について

『日本国勢図会』は、公益財団法人矢野恒太記念会が毎年6月に発行する統計年鑑です。初版は1927年に公開されて以降、第二次世界大戦を挟んでも定期的に刊行が続いており、「民間で最も権威ある統計書」としての地位を確立しています。この年鑑は、教育や研究の場でも利用されており、多くの入試問題にも引用されています。

歴史的背景

本書の初版は矢野恒太が著したものであり、その序文には教育者としての使命感が示されています。「本書に書いたことを若い世代に伝えたい」という思いが込められており、324ページにわたる内容には85章と231の統計表、135の図表が掲載されています。初版は安価な価格設定のため広く普及し、特に下村宏の推薦文が寄せられたことで評判が高まりました。その結果、初版は6万部以上が流通したと推定されています。

それ以降、隔年で刊行される形が続きましたが、昭和10年版以降は数年間の休刊を経て、戦後の1948年に再び刊行が再開されました。この時期、編者の名は白崎亨一に引き継がれました。1954年以降は、矢野恒太記念会が正式な編者として名を連ね、年刊体制が確立されました。

教育分野での利用

『日本国勢図会』は、教育現場での重要な資料として広く使用されています。特に、入試問題における重要な参考資料として有名であり、図表が引用されることも多々あります。しかし、時には出題ミスの原因となるような不適切な加工がなされることもあり、その注意喚起が求められる場面も見られます。

デジタル化の進展

2000年には、初版から当時の最新刊までを収録した『日本国勢図会CD-ROM2000/2001』が発売され、その後2007年には1997/1998年版から2006/2007年版を含むCD-ROMも登場しました。これにより、従来の紙媒体に依存せず、デジタル形式でも情報が手に入るようになりました。また、2020年の新型コロナウイルスの影響で学校が休校となった際、家庭学習支援として『日本国勢図会2018/2019年版』が無償でネット上に公開されるなど、新たな活用の形も生まれています。

まとめ

『日本国勢図会』は、日本の統計資料としての役割を果たすだけでなく、その利用が教育の現場においても促進されています。統計のデジタル化が進む中で、持続的に普及し続けるための取り組みも重要視されています。これからも、教育や研究においてその価値は変わらないでしょう。

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