日本国憲法第47条

日本国憲法第47条：国会議員選挙の根幹

日本国憲法第47条は、国会議員の選挙に関する事項を規定する重要な条文です。この条文は、民主主義国家において、国民の代表である国会議員をどのように選出するかという根幹に関わる事項を定めています。

条文

第四十七条

選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。

この簡潔な条文は、選挙の細則は憲法ではなく、個別の法律で定めるべきだと明確に示しています。憲法が選挙の根本原則を定める一方で、具体的な手続きは柔軟に、時代や社会情勢の変化に合わせて法改正によって対応できるようになっています。

関連法規：公職選挙法

第47条で言及されている「法律」とは、主に公職選挙法を指します。公職選挙法は、選挙区の区割り、選挙の期日、投票の方法、選挙運動の規制など、選挙の実施に必要なあらゆる事項を詳細に規定しています。

歴史的背景：憲法改正過程における変遷

現在の第47条に至るまでには、様々な議論や修正がありました。大日本帝国憲法では、貴族院と衆議院の構成方法がそれぞれ別々に規定されていました。貴族院は貴族院令によって、皇族、華族、勅任議員で構成され、衆議院は選挙法によって公選議員で構成されていました。

GHQ草案では、「選挙、任命及投票ノ方法ハ法律ニ依リ之ヲ定ムヘシ」という簡潔な規定がありました。その後、憲法改正草案要綱、憲法改正草案を経て、現在の第47条のような形になりました。この過程において、選挙の公平性や国民主権の理念をより明確に反映させるため、条文の修正が行われたと考えられます。

特に、大日本帝国憲法からの変化は顕著です。大日本帝国憲法では、選挙制度そのものが憲法で詳細に規定されておらず、特権階級の優位が維持される構造になっていました。これに対し、日本国憲法では、選挙制度の根本原則は憲法で定めつつ、具体的な方法は法律に委ねることで、より柔軟で民主的な制度設計を目指しました。

第47条の意義

第47条の意義は、憲法が選挙の根本原則を定め、具体的な手続きは法律で定めるという点にあります。この仕組みによって、憲法は時代を超えて普遍的な価値を保持しつつ、選挙制度は社会情勢の変化に合わせて柔軟に改正できるようになっています。また、選挙の公平性と国民主権の原則を保障するという点でも、重要な役割を果たしています。

憲法で選挙の根本原則を定めることで、国民の権利を保障し、民主主義の根幹を支える役割を担っています。同時に、具体的な手続きを法律に委ねることで、社会状況の変化に合わせた柔軟な対応を可能にしています。このバランスが、第47条の重要な意義と言えるでしょう。

参考文献

東京法律研究会『大日本六法全書』井上一書堂、1906年（明治39年）。
国立国会図書館「日本国憲法の誕生」

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