日本国有鉄道経営再建促進特別措置法

日本国有鉄道経営再建促進特別措置法について

日本国有鉄道経営再建促進特別措置法（通称：国鉄再建法）は、1980年12月27日に施行された法律で、日本国有鉄道（国鉄）の経営改善を図る目的で制定されました。この法律は、1970年代から続く国鉄の赤字の深刻化を受けて、再建を促進するための特別措置を整備するものでした。国鉄は1964年度に赤字転落し、その後も経営は改善されることなく、1980年度には年間約1兆円の赤字を計上するほどの危機的状況にありました。

法の制定により、国鉄は経営基盤の確立を目指し、経営改善計画の策定と運輸大臣への報告を義務付けることが求められました。この法律の施行を契機に、赤字を抱えるローカル線の廃止が進められましたが、その後の国鉄分割民営化は、直接的には本法の目的とは関係なく進行しました。

経営改善計画の詳細

1980年5月には、運輸大臣の承認を得た経営改善計画が策定されました。この計画には以下の施策が含まれています:

1. 輸送の近代化：鉄道の特性を発揮しやすい分野において営業縮小や輸送力の見直しを行い、コスト削減を目指しました。
2. 業務運営の効率化：民間企業の手法を取り入れることによって業務の効率化を図り、職員数を昭和60年までに35万人に抑制する方針が掲げられました。
3. 収入確保：適切な運賃改定を行い、関連事業から5000億円の収入を確保する計画です。
4. 経営管理の健全化：経営の安定化を図り、資金管理の強化を目指します。
5. 設備投資の抑制：効率の良い分野への投資に重きを置き、特に東北新幹線の完成を目指しました。
6. 収支改善の目標：昭和60年度までに幹線の損益を収支均衡にすることを目指しました。
7. 地方交通線の合理化：収益性の低いローカル線に対しては、徹底的な合理化を実施しました。

これらの施策では、職員の合理化を含む大規模な人員削減が計画され、最終的に94,900人の合理化が目指されることとなりました。また1984年には経済状況の悪化を受けて、改定された経営改善計画が承認され、新規採用の停止や職員数の目標がさらに厳しく見直されました。

地方交通線の問題

国鉄の赤字ローカル線問題は重要な課題でした。国鉄再建法によって、運営の改善が困難な営業線を「地方交通線」として選定し、運輸大臣の承認を受ける制度が設けられました。この規定によって、ローカル線の運賃を一律から割増運賃導入が可能となり、収支の改善を図る手立てが講じられることとなりました。

さらに、特定の地方交通線には、一般的なバスによる代替輸送が適当であると認められる基準が設定され、1990年までに多くの路線が新たに設立された第三セクターや私鉄などへ移行し、またはバスに転換されることとなりました。このような施策により、赤字ローカル線問題への対処が進み、国鉄の経営再建に寄与したという評価もなされています。

結論

日本国有鉄道経営再建促進特別措置法は、国鉄の長年の赤字問題を背景に策定された法律であり、経営改善に向けた一連の施策を講じることを目的としていました。経営改善の取り組みは、結果的に1987年に国鉄が民営化される土台となり、その後の日本の鉄道業界に大きな影響を与えました。

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