日本最古のりんごの木

日本最古のりんごの木：歴史と品種、地域とのつながり

青森県つがる市に現存する3本のりんごの木は、日本最古のものとして知られています。これらの木は、1878年（明治11年）に植えられたセイヨウリンゴの古木であり、「りんごの樹」として1960年（昭和35年）に青森県指定天然記念物に指定されました。この記事では、これらの木の歴史、品種、そして地域との関わりについて詳しく解説します。

日本における西洋りんごの導入

西洋りんごが日本に導入されたのは明治時代の初めです。幕末には、アメリカからの使節団が持ち帰った苗木が松平春嶽の屋敷に植えられたという記録があります。その後、田中芳男らが西洋りんごの試食を行い、その美味しさに感銘を受けて日本への移植を発案しました。

田中芳男は西洋りんごに「おおりんご」という和名をつけ、在来種のりんご（「こりんご」）と区別しようとしましたが、この呼び名は普及せず、一般的には「西洋りんご」と呼ばれるようになりました。在来種のりんごは小ぶりで酸味が強く、保存も難しかったため、西洋りんごの導入は日本のりんご栽培に大きな影響を与えました。

青森県におけるりんご栽培の始まり

青森県で西洋りんごの栽培が始まったのは1871年（明治4年）のことです。内務省勧業寮から配布された苗木が県庁や士族の出身者に試植され、栽培が始まりました。初期には多くの品種が栽培されましたが、1898年（明治30年）以降の病害虫の発生により、多くの木が伐採されることになりました。その後、生産者たちは試行錯誤を重ね、青森県の気候風土に合う優良品種を選び、栽培を続けました。

日本最古のりんごの木

日本最古のりんごの木は、1878年（明治11年）に古坂乙吉によって植えられました。菊池三郎から譲り受けた5-6年生の苗木を畑に植えたものの、病害虫の影響でほとんどの木が倒れ、最終的に「紅絞」2本と「祝」1本の3本が残りました。これらの木は樹齢を重ね、現在も健在です。

通常、りんごの木の寿命は30年程度と言われていますが、これらの木はそれをはるかに超えて生き続けています。収穫されたりんごは秩父宮雍仁親王や昭和天皇にも献上され、その品質が認められました。1960年（昭和35年）には青森県指定天然記念物となり、小学校の教科書にも紹介されました。

現在も3本の木は大切に管理されており、毎年収穫されたりんごは一般向けに販売されるほか、「長寿りんご」として地元の老人福祉施設に寄贈されています。これらの木は、青森県がりんごの生産地としてのシンボルとして、多くの観光客が訪れる名所となっています。1990年（平成2年）には「新日本名木100選」にも選定されました。

品種について

現存する木のうち、「紅絞」はフランス原産とされ、日本には1871年（明治4年）に導入されました。津軽地方では「タマカン」とも呼ばれ、その美しい赤い色から名付けられたと言われています。「祝」も同じく1871年（明治4年）にアメリカから導入された品種で、津軽地方では「ダイナカ」とも呼ばれていました。この品種は各地で様々な名前で呼ばれていましたが、1900年（明治33年）に「祝」という名称に統一されました。

交通アクセス

所在地：青森県つがる市柏桑野木田字千年226

交通手段：JR五能線五所川原駅から車で約20分、または五所川原駅から弘南バス鶴田線でつがる市役所柏支所前下車、徒歩約5分。

日本最古のりんごの木は、青森県のりんご栽培の歴史を物語る貴重な存在です。その長寿にあやかり、多くの人々が訪れるこの場所で、りんごの歴史と文化に触れてみてください。

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