日本橋野村ビルディング

日本橋野村ビルディング：歴史と再開発

日本橋野村ビルディングは、東京都中央区日本橋一丁目に位置する歴史的建造物です。旧野村財閥（野村コンツェルン）が大阪から東京に進出する際の拠点として計画されました。現在の所有者は、旧財閥の不動産などを管理する野村殖産であり、野村ホールディングスや野村證券が直接所有しているわけではありません。

歴史

1930年3月15日に竣工したこのビルは、旧野村財閥の中核を担った野村銀行（現在のみずほ銀行の前身）の東京進出拠点としての役割を担いました。しかし、第二次世界大戦終戦後の1946年11月3日、建物は占領軍に接収され、アメリカ軍とその家族のための宿泊施設「リバービューホテル」として利用されました。接収が解除されたのは1952年10月20日のことです。その後、1959年に本館、1981年には別館が増築され、野村證券が本社を置くなど、オフィスビルとしての機能が強化されました。2012年には、DOCOMOMO JAPANによって日本におけるモダン・ムーブメントの建築に選定され、その建築的価値が認められています。

再開発

近年、日本橋野村ビルディングは再開発の波にさらされています。日本橋川沿いに建つ軍艦のような外観で知られるこのビルは、旧館・本館・別館で構成されていましたが、「日本橋一丁目中地区再開発事業」の推進に伴い、本館と別館は解体されました。この再開発事業には、三井不動産と野村不動産が組合員として参加しています。一方で、建築家・安井武雄が設計した旧館は、その外観が保存され、4階建ての複合施設（店舗・業務施設）として生まれ変わることになりました。

再開発計画では、旧館の保存・改修に加えて、52階建て・高さ284mの高層棟（ホテル・オフィスなど）、7階建ての住宅、商業施設などが建設される予定です。この大規模な再開発プロジェクトは、2026年3月末の全体竣工を目指して進められています。

旧館の特徴

竣工当初、旧館は鉄骨鉄筋コンクリート構造の地上7階、地下2階建てでした。敷地面積は334.880坪、建築面積は302.008坪、延床面積は2,384.551坪です。設計を担当した安井武雄は、野村コンツェルンの東京進出拠点として、また日本橋のランドマークとしての役割を果たすべく、既存のオフィスビルの枠にとらわれない独自の設計を目指しました。その結果、足元と頭を軽く、中間を重く見せる「動的均整（ダイナミック・シンメトリー）」と呼ばれる設計手法が外観デザインの基本となり、印象的な外観を生み出しました。

まとめ

日本橋野村ビルディングは、その歴史的な背景と独特な建築様式から、日本の近代建築を代表する建物の一つです。再開発によって新たな姿へと生まれ変わりますが、旧館は保存され、その歴史と建築的価値を未来に伝えていくことでしょう。

出典

建築学会、昭和5年（1930年）7月 『建築雑誌 第四四輯 第五三五號』
日本橋野村ビルディング新築工事概要 (PDF)
野村建設工業株式会社社史編纂委員会『野村建設工業三十年史』 野村建設工業株式会社、1976年11月。

外部リンク

日本橋野村ビル - 野村殖産

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