日本海事新聞

日本海事新聞（にほんかいじしんぶん、英称：THE JAPAN MARITIME DAILY）は、株式会社日本海事新聞社が発行する日刊の総合物流専門紙です。同社は日本新聞協会および日本専門新聞協会の会員社となっています。

概要

本紙は、海運（外航・内航）、造船・舶用工業、港運、倉庫業、港湾政策、航空貨物、クルーズ、そして広範なロジスティクス分野に至るまで、物流に関わる多様な領域の専門ニュースを日刊で提供しています。ブランケット判で、通常6ページから12ページ立てで発行されており、業界の第一線で活躍するビジネスパーソンにとって不可欠な情報源となっています。

沿革

日本海事新聞の歴史は、第二次世界大戦中の1940年11月に設立された公益財団法人日本海事振興会に始まります。当時の逓信大臣であった村田省蔵氏を会長とし、日本郵船社長の大谷登氏、三菱重工業社長の斯波孝四郎氏らが設立代表者となったこの財団は、定款の中で「海事に関する新聞その他の刊行物の発行」をその事業目的の一つとして掲げていました。

戦局が拡大するにつれて、逓信省海務局は戦争遂行のための国民啓蒙および指導を目的とした国策新聞の必要性を強く認識するようになります。これを受け、海事振興会はその外郭団体として1942年12月、「日本海事新聞」を機関紙として創刊しました。創刊当初は国内に13の支局を置き、214名もの職員を擁する大規模な組織でした。

終戦を迎えた1946年4月、日本海事振興会は機構を大幅に縮小し、日本海事新聞事業を財団から分離独立させます。その後は職員であった古屋俊雄氏が経営を担うこととなりました。

1950年4月には、運輸省（現在の国土交通省）の斡旋もあり、新たな転機を迎えます。第一新聞協会（現在の日本専門新聞協会）会長であり、日本教育新聞の創刊者でもあった大山恵佐氏が株主となり、株式会社日本海事新聞社の初代社長に就任。組織体制が強化されました。

その後、事業は拡大し、1952年12月には国際的な読者を対象とした英文月刊紙「ジャパン・マリタイム・ジャーナル」を発行しました。1956年9月には、日本の主要な新聞社が加盟する日本新聞協会にも正式に加盟し、報道機関としての信頼性をさらに高めました。

経営体制については、1984年10月に大山恵佐氏の逝去に伴い佐藤菊雄氏が社長に就任。1994年4月には大山恵佐氏の長男である大山髙明氏が社長を引き継ぎました。一時、2016年6月から畠雅仁氏が社長を務めましたが、2019年4月には大山髙明氏が再び社長に就任しました。この時期には本社移転に加え、中部支局の開設も行われ、事業展開を強化しています。

近年はデジタル分野への積極的な展開も見られます。2019年7月1日には、6大商社や海事関連企業、富士通株式会社などが出資するマリンネット株式会社へ経営参画しました。さらに、同年7月15日にはデジタル版である「海事電子版®」をリリースし、Apple WatchやAmazon Echoといった新たなデバイスへの対応も進めました。2024年6月には、Apple Vision Proに対応した「海事XR版®」をリリースするなど、先進技術を取り入れた情報提供にも注力しています。

経営トップについては、2020年6月に山本裕史氏が社長に就任しましたが、2022年3月に退任。2021年6月には大山髙明氏の長男である大山秀海氏が会長に就任し、次世代への承継が進んでいます。そして、2025年4月には大山秀海氏が社長に就任する予定となっています。

日本海事新聞は、その創刊以来、日本の海事・物流分野の重要な情報基盤として、業界の発展に貢献し続けています。

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