日本漫画大会

日本漫画大会とは

日本漫画大会は、1970年代から1980年代初頭にかけて日本で開催された、漫画を中心としたコンベンション形式のイベントです。当時、漫画ファンや評論家たちが中心となり、同人誌の全国的な組織化を目指す「ぐら・こん」という活動の影響を受けて誕生しました。

大会の始まりと目的

1972年7月、第1回大会が四谷公会堂で開催されました。主催は、漫画雑誌『COM』の活動に影響を受けた漫画ファンや評論家たちによる大会運営委員会でした。大会の継続的な開催を目指し、運営に参加した同人サークルが組織化され、「漫画グループ連合」が結成されました。初代委員長には、石森章太郎ファンクラブの創設者である青柳誠が就任しました。

日本漫画大会は、当時人気を博していた日本SF大会の形式を参考に、スライド講演や著名漫画家の挨拶、パネルディスカッション、ファン賞の選定、漫画古書のオークション、同人誌即売会などが行われました。また、参加者には大会レポートが配布され、参加費を支払うことで、事前申し込みが必要でした。さらに、日本SF大会の合宿所としても利用されていた駿河台ホテルでの合宿イベントも開催されました。

大会の運営側は、プロの漫画家や編集者など、商業漫画界の著名人とファンが交流できる場であることをアピールしていました。しかし、実際には「ぐら・こん」によって広まった同人誌ブームを背景に、全国各地の多様な同人誌を直接入手できる唯一の全国規模イベントとして、漫画ファンの間で注目を集め、毎回数百人が参加するほどの人気ぶりでした。

参加拒否事件と大会の衰退

1974年の第3回大会では、警備スタッフによるヌンチャクでの威嚇行為やオークションでの高額落札など、運営側の高圧的な姿勢が目立ちました。この運営体制に対する不満は、参加者だけでなく、漫画グループ連合内部でも高まりました。

1975年の第4回大会では、参加者の1人が申込書に運営を批判するコメントを添えたところ、大会運営委員会はこれを理由に申込書を返送し、参加を拒否するという事件が発生しました。この事件をきっかけに、漫画グループ連合内の同人サークルや、まんが批評集団「迷宮'75」などが同年7月に「まんが大会を告発する会」を結成し、日本漫画大会を糾弾しました。

大会運営委員会は告発側の指摘や要求を無視しましたが、これが逆に大会への不信感を増大させる結果となりました。さらに、「迷宮'75」が同年12月に同人誌の即売会に特化したイベント「コミックマーケット」を立ち上げたことで、多くの参加者が日本漫画大会から離れていきました。

大会末期には、新規参加者が次回の運営委員長を引き受けるなど、運営は混迷を深めました。運営委員会は参加者全員による大会運営を訴えましたが、衰退を食い止めることはできず、1981年の第10回大会を最後に、その歴史に幕を閉じました。

開催履歴

第1回：1972年7月29日-7月30日 四谷公会堂（東京都新宿区）
第2回：1973年8月4日-8月5日 四谷公会堂（東京都新宿区）
第3回：1974年7月27日-7月28日 四谷公会堂（東京都新宿区）
第4回：1975年7月26日-7月27日 四谷公会堂（東京都新宿区）
第5回：1976年8月7日-8月8日 三鷹市公会堂（東京都三鷹市）
第6回：1977年 牛込公会堂（東京都新宿区）
第7回：1978年8月5日-8月6日 牛込公会堂（東京都新宿区）、荒川公会堂（東京都荒川区）
第8回：1979年7月28日-7月29日 牛込公会堂（東京都新宿区）
第9回：1980年
第10回：1981年7月25日-7月26日 四谷公会堂（東京都新宿区）


第10回大会では、雑誌に掲載された開催告知の日付が誤っていたこともあり、一般参加者はほとんどいませんでした。

関連事項

コミックマーケット
迷宮 (同人サークル)

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