日本産魚類図説

日本産魚類図説について

「日本産魚類図説」（にほんさんぎょるいずせつ）は、日本の魚類に関する詳細な図鑑であり、英語では "Figures and descriptions of the fishes of Japan" と銘打たれています。この図説は、リュウキュウ諸島、青ヶ島、台湾（フォルモサ）、千島列島、韓国、南サハリンなど、広範囲にわたる地域の魚類を対象にしており、日本の淡水や海水魚の生態や特性を理解するための貴重な資料です。

編纂の経緯

本書は、東京帝国大学の田中茂穂氏（「近代魚類分類学の父」と称される）の手により、1911年から1930年にかけて編纂されました。全体で48巻から成り、287種の魚類が詳細に記載されています。このうち41種は新種として紹介され、当時の日本の魚類研究における重要な成果を示しています。が、その後、1953年からは阿部宗明氏と冨山一郎氏によって継続的な編纂作業が行われ、1958年までにはその巻数が59に達する大著となりました。1994年には、その全巻を増補した60巻目が出版されています。

資金と出版の歴史

この図鑑は田中茂穂氏の私費で製作された自費出版として始まりました。初版の第1巻は1911年に刊行され、以降7年後の1919年には財団法人啓明会からの支援を受けることとなりました。この支援は、第30巻以降の巻について約6年間にわたって実施され、製作の安定性に寄与しました。1935年には、初版の第1巻から第30巻までが復刊され、限定200部が定価60円で大地書院から再リリースされました。

魚類研究への影響

「日本産魚類図説」は日本の魚類に関する研究と教育の基礎となる重要な資料です。この図説を通じて、魚類の分類や生態、地理的分布に関する情報が提供され、釣りや水産業、環境研究など、さまざまな分野の発展に寄与しています。また、研究者だけでなく、一般の魚類愛好家や海洋生態系に興味を持つ人々にとっても、貴重な参考書として利用されています。

このように「日本産魚類図説」は、単なる図鑑にとどまることなく、日本の生物多様性を理解する上で必要不可欠な資料としての地位を確立しています。今後もこの図説が、さまざまな形で日本の魚類研究において重要な役割を果たし続けることが期待されます。

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