阿部宗明

阿部 宗明（あべ ときはる）

概要

阿部宗明は、1911年4月3日に東京で生まれ、1996年8月9日に逝去した日本の著名な魚類学者です。特に、東アジアのフグの分類に関する彼の業績が広く知られています。1949年には新たにフグ科の属としてトラフグ属を提案し、多数の新種の発見に貢献しました。彼は『日本産魚類図説』の編纂にも関与し、これにより日本の魚類学界に多大な影響を与えました。

経歴

阿部は1911年に東京の田端に生まれ、1919年には家族と共に台湾へ移住しました。1932年には台北高等学校を卒業後、日本に戻り、東京帝国大学理学部動物学科に進学。田中茂穂教授に師事し、1935年に卒業しました。さらに大学院に進学し、1940年に修了後は大学の研究生として研究を続けました。

1947年からは農林省水産試験場で勤務し、1949年には東海区水産研究所に転職。その後、1952年には理学博士の学位を東京大学から授与されます。1960年には同研究所の資源部主任研究官に就任し、1977年には同所を退職。その後、海洋水産資源開発センターで勤務し、1981年にはおさかな普及センター資料館の館長に就任しました。彼は1996年に脳内出血により逝去しました。

主な業績

阿部は多くの新種を発見し、さまざまな学名を命名しました。特に、ハダカカスミザメ（Centroscyllium kamoharai）やメフグ（Fugu obscurus）などが有名です。また、彼が命名したトラフグ属（Takifugu）は、1949年に提案されたものであり、今でも魚類学の重要な分類の一つとなっています。

主な論文には、魚類の新種や分類に関する多数の研究が含まれています。例えば、1950年には「日本近海産の新しい、珍しいまたは一般的でない魚」という題名の論文を発表し、1952年にはマフグ科の研究をおこなっています。

教育と役職

阿部はさまざまな役職に就き、魚類学の発展に寄与しました。東京大学大学院や筑波大学で講師を務め、魚の会の理事及び会長としても活動しました。日本魚類学会では幾つかの重要な役職に就いており、編集委員会にも関与しました。さらに、アメリカ魚類・は虫両生類学会の名誉会員として国際的な交流にも貢献しています。

著作

彼の著作には、阿部と益田一海による『日本列島の魚―Sea-fantasy-』があり、1972年に発表されました。これは日本の魚類に関する貴重な資料となっています。

阿部宗明は、魚類学界において重要な存在であり、彼の功績は今なお多くの研究者に受け継がれています。

もう一度検索