日本考古学会

日本考古学会

日本考古学会（にっぽんこうこがっかい、英文名称：The Archaeological Society of Nippon）は、1895年に創設された、日本国内で最も古い歴史を有する考古学分野の学術組織です。この学会は、専門の研究者や博物館の学芸員、教育関係者、学生といった学術分野に関わる人々だけでなく、考古学に関心を持つ一般市民にも広く会員としての門戸を開放しています。

沿革

「考古学会」としての誕生

本学会の歴史は、1895年（明治28年）に「考古学会」として設立されたことに始まります。同年4月には正式な発会式が執り行われました。設立の中心となったのは、当時高等師範学校（現在の筑波大学などに連なる教育機関）の教授であった三宅米吉で、帝室博物館（現在の東京国立博物館）を母体として活動が始まりました。

三宅米吉が起草した設立趣意書には、「本会は同志が協力して日本の考古学研究に従事し、その目的は日本各地の歴史的な風俗、習慣、文化財、技術などを明らかにすることにある」と記されています。当時の日本の学術界では、東京帝国大学の人類学教室を拠点とする人類学会が、石器時代などの考古学分野の一部も研究対象としていました。このような状況下で「考古学会」が設立されたことは、考古学独自の研究領域を確立しようとする「独立宣言」として捉えられることもあります。設立当初、考古学会は主に弥生時代や古墳時代といった、比較的新しい時代の研究に注力しました。

「日本考古学会」への改称

設立から時を経て、1941年1月には、日本の紀元とされる皇紀2600年を記念する事業の一つとして、学会名称が現在の「日本考古学会」へと改められました。

会員制度と活動内容

日本考古学会への入会に際して、特別な審査はありません。規定の会費を納めることで、誰でも会員となることができます。入会に関する詳細な手続きや学会の規則は、学会の根幹をなす機関誌『考古学雑誌』の巻末に掲載されており、いつでも確認が可能です。

学会の事務所は現在も東京国立博物館内に置かれており、活発な学術活動を続けています。主な活動としては、会員による研究成果の発表が行われる例会（研究発表会）の開催と、機関誌『考古学雑誌』の発行が挙げられます。

刊行物

日本考古学会の機関誌は、その歴史の中で何度か名称や形態を変えながら継続されてきました。

機関誌の変遷

『考古学会雑誌』: 設立翌年の1896年に創刊され、28冊が刊行されましたが、1900年の第3篇第4号をもって一度終刊しました。
『考古』: 『考古学会雑誌』の終刊後、1900年から機関誌は『考古』と改題され、第1号から第7号までが刊行されました。
『考古界』: 『考古』の後を継ぎ、1901年には『考古界』として刊行が開始されました。こちらは96冊が刊行され、第8篇第12号をもって1910年に一旦休刊しました。
『考古学雑誌』: 『考古界』の休刊と同じ年の1910年9月25日、現在の機関誌である『考古学雑誌』が新たに創刊されました。以降、現在に至るまで刊行が続けられています。

『考古学雑誌』の歩みと現在

『考古学雑誌』の刊行は、第二次世界大戦中の1944年8月に刊行された第34巻第8号を最後に一時中断されました。しかし、翌1945年2月には第34巻第9号が刊行されて再開の兆しを見せ、1947年10月の第34巻第10号以降は本格的に復刊し、今日まで刊行が続いています。

現在、『考古学雑誌』は第99巻からは年間2回のペースで発行されています。また、近年では誌面が刷新されており、2022年に発行された第104号からは、掲載されているすべてのページがカラー印刷となるなど、読者にとってより視覚的に分かりやすい誌面作りが進められています。

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