日本臨床救急医学会

一般社団法人日本臨床救急医学会（にほんりんしょうきゅうきゅういがくかい、英文名: Japanese Society for Emergency Medicine, JSEM）は、救急医療分野の発展に貢献するために設立された学術団体です。本学会の大きな特徴は、医師のみならず、看護師、救急隊員、その他の医療従事者（コメディカル）、そして消防機関関係者といった、救急医療に関わる幅広い職種の専門家が共に活動している点にあります。多様な立場の人々が一堂に会し、連携を深めることで、救急医療全体の質の向上と進歩を目指しています。

学会の主たる事務所は、東京都中野区に置かれています。

一般社団法人日本臨床救急医学会が展開する事業は多岐にわたります。主な活動内容としては、救急医療に関する最新の知見や研究成果を共有するための学術集会の開催が挙げられます。これは会員にとって、日々の診療や活動に役立つ情報を得るとともに、活発な意見交換を行う重要な機会となっています。また、救急医療現場が直面する様々な課題について検討を加え、解決策や指針を提示することも本学会の重要な役割です。

さらに、救急医療従事者の実践的なスキル向上を目的とした、シミュレーション研修プログラムの開発と普及にも積極的に取り組んでいます。これは、緊迫した状況下での適切な判断力や技術を磨く上で極めて有効な手段とされています。情報発信としては、機関誌『日本臨床救急医学会雑誌』を隔月で刊行し、論文や活動報告などを掲載しています。加えて、専門図書や研究資料なども出版しており、例えば2010年6月には『緊急度判定支援システム』を刊行するなど、教育・啓発活動にも力を入れています。

これらの活動に加え、日本国内の関係学術団体や機関との連携はもちろんのこと、海外の関連組織とも積極的に協力し、国際的な視野を持って日本の救急医療の地位向上に貢献しています。

本学会の学術集会は、設立以来、毎年全国各地で開催されてきました。第1回は1998年6月に小濱啓次氏（川崎医科大学教授）のもと倉敷市で開催され、以降、救急医療の発展に貢献する多くの研究者や実務家が会長を務めています。初期には加来信雄氏（久留米大学教授、第2回）、小林國男氏（帝京大学教授、第3回）らが会長を務め、東京都、久留米市、名古屋市など、多様な地域で開催されました。その後も、有賀徹氏（昭和大学教授、第8回）、石井昇氏（神戸大学教授、第10回）、浅井康文氏（札幌医科大学教授、第14回）など、全国の主要な救急医療分野の専門家が中心となり、神戸市、盛岡市、札幌市、熊本市といった様々な都市で開催地を移しながら継続されています。さらに、野口英一氏（東京消防庁、第11回）、横田順一郎氏（市立堺病院、第12回）、大橋教良氏（帝京平成大学、第13回）といった、大学以外の機関に所属する専門家も会長を務めており、学会の多職種性を反映しています。近年の集会では、鈴川正之氏（自治医科大学教授、第17回、下野市）、奥寺敬氏（富山大学教授、第18回、富山市）、高谷雄三氏（福島県医師会長、第19回、郡山市）らが会長を務めました。第20回は坂本哲也氏（帝京大学教授）のもと開催が予定されています。これらの学術集会は、救急医療の発展における重要な節目となっています。

このように、一般社団法人日本臨床救急医学会は、多分野の専門家が協力し、学術、教育、研究、出版といった活動を通じて、日本の救急医療体制の質的向上と持続的な発展に大きく貢献しています。詳細な活動については、学会の公式ウェブサイトで確認することができます。

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