日本製鉄瀬戸内製鉄所

日本製鉄瀬戸内製鉄所

日本製鉄瀬戸内製鉄所は、2020年4月1日に、広畑製鉄所と日鉄日新製鋼の呉製鉄所、堺製造所、東予製造所、大阪製造所を統合して発足した、日本製鉄が運営する製鉄所です。従業員数は3,183人（2021年3月31日時点）を擁し、広畑地区、阪神地区（堺、東予、大阪、神崎）の5つの主要地区に分かれています。

各地区の概要

広畑地区

兵庫県姫路市に位置する広畑地区は、夢前川の河口に隣接し、姫路港に面しています。1939年に日本製鐵によって建設された歴史ある製鉄所であり、播磨臨海工業地帯の一角を担っています。戦後の休止期間を経て、富士製鐵の主力製鉄所として発展しました。1993年には高炉が休止されましたが、現在は年間100万トンの粗鋼を生産する薄板の製造拠点となっています。主な製品は熱延鋼板、冷延鋼板、めっき鋼板、電磁鋼板などです。

設備と製品

粗鋼生産には、スクラップなどの冷鉄源を溶解する「冷鉄源溶解法 (SMP)」が用いられています。溶解炉、脱炭炉、兼用炉が各1基設置されており、連続鋳造機で鋼片に鋳造されます。鋼片を圧延する設備としては、熱延鋼板製造設備（1ライン）、冷延鋼板製造設備（2ライン）、電磁鋼板製造設備（1ライン）があります。表面処理設備には、ブリキ用（2ライン）、溶融亜鉛めっき用（2ライン）、電気亜鉛めっき用（1ライン）があります。

かつては4基の高炉がありましたが、現在は休止しています。また、厚板やH形鋼などの製造設備もありましたが、現在は薄板製造に特化しています。

広畑製鉄所内には、日本製鉄グループの工場（日鉄ケミカル&マテリアル、日鉄建材など）や、三菱電機、ダイセル、ダイハツディーゼルなどの工場も立地しています。

沿革

1939年：日本製鐵広畑製鐵所として発足。
1946年：戦後賠償のため休止。
1950年：富士製鐵が継承し、製鉄所を再開。
1970年：新日本製鐵発足に伴い、同社の広畑製鐵所となる。
1993年：高炉を休止し、冷鉄源溶解設備を導入。
2020年：日本製鉄瀬戸内製鉄所の一部となる。

事故

2021年5月：一酸化炭素中毒による死亡事故が発生。
2021年5月：X線被曝事故が発生。

アクセス

山陽自動車道山陽姫路西ICから約20分。
山陽電鉄広畑駅から約2km。

呉地区 (2023年停止)

広島県呉市に位置する呉地区は、旧呉海軍工廠跡地に1951年に建設された製鉄所です。日鉄日新製鋼で唯一の高炉と熱間圧延設備を有し、素材供給拠点としての役割を担っていました。2基の高炉を有し、スラブの熱間圧延処理も行っていました。冷間圧延設備や表面処理設備はなく、生産された熱延材は他の事業所で加工されていました。

2000年代中期以降は、高炉の燃料・還元剤として重油を多く使用していたのが特徴です。2004年からは高炉を改修し重油吹き込み設備を設置し、重油の使用を開始しました。

2020年2月には、日本製鉄により3年以内の全面閉鎖が発表され、2021年9月に高炉が停止、2023年9月に全設備が停止されました。今後は約10年かけて設備を解体する予定です。

設備と生産品目

普通鋼熱延帯鋼・鋼板
特殊鋼熱延帯鋼・鋼板
ステンレス熱延帯鋼・鋼板
高炉：2基
熱間圧延設備

沿革

1951年：日亜製鋼の呉製鉄所として発足。
1959年：日新製鋼が発足。
1962年：第1高炉火入れ。
1966年：第2高炉火入れ。
1982年：第2熱間圧延設備稼働。
2020年：日本製鉄瀬戸内製鉄所の一部となる。
2023年：全設備停止。

所在地

広島県呉市昭和町11-1

敷地面積

149万m2（2007年3月31日現在）

従業員数

960人（2019年3月31日時点）

年間粗鋼生産量

338万トン（2006年度実績）

その他の地区

阪神地区（堺）：大阪府堺市に位置。
阪神地区（東予）：愛媛県西条市に位置。
阪神地区（大阪）：大阪府大阪市に位置。
阪神地区（神崎）：兵庫県尼崎市に位置。

これらの地区については、詳細な情報が不足しているため、ここでは概要のみの紹介とします。

関連情報

日本製鉄瀬戸内製鉄所は、鉄鋼業界において重要な役割を担っています。製鉄所の歴史や技術、そして地域の発展に貢献してきたことを、この記事を通じてご理解いただければ幸いです。

日本製鉄瀬戸内硬式野球部
日本製鉄広畑柔道部
製鉄記念広畑病院

参考文献

日本製鉄株式会社史編集委員会『日本製鐵株式會社史』1959年。
新日本製鐵『炎とともに』 富士製鐵株式會社史、新日本製鐵、1981年。
新日本製鐵『炎とともに』 新日本製鐵株式會社史、新日本製鐵、1981年。

外部リンク

日本製鉄瀬戸内製鉄所

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