日本読書新聞

日本読書新聞の歴史と影響

日本読書新聞（にほんどくしょしんぶん）は、1937年から1984年までの間、書評と文学を中心に活動していた新聞です。発行元は日本読書新聞社であり、戦後には日本出版協会から復刊されました。この新聞は、日本の文化や思想を反映する重要な媒体として、多くの文学者や評論家の声を広めていました。

創刊までの経緯

日本読書新聞の前身は、1930年に沖縄出身の与座弘靖によって創刊された月刊「読書新聞」です。1941年に旬刊の「日本読書新聞」が東京で発刊され、これにより全国的な書評紙としての地位を確立しました。初代編集長には、中貞夫が就任し、他にも影響力のある編集者が集まりました。

編集の変遷と国家統制

戦時下の日本においては、国家による統制が強まり、1941年から編集方針が変更されました。日本出版文化協会の機関誌となり、編集部には東大出身者が多く加わりました。しかし、戦局の悪化とともに、編集部員も兵役に取られ、1945年にはついに休刊に追い込まれました。

戦後復刊と編集部の分裂

1945年11月に日本出版協会により復刊され、1960年代には新左翼運動の高まりと共に全盛期を迎えました。この時期には多くの著名な文化人が執筆し、新聞の発行部数は10万部に達するなど、多くの読者を惹きつけました。しかし、編集長の田所が不満を持ち1949年に退社することで「図書新聞」が創刊され、さらに日本自由出版協会の結成により複数の書評紙が並立する状況になりました。

全盛期における文化的影響

1960年代から70年代初頭にかけて、日本読書新聞は日本の文学界において中心的な役割を果たし、様々な文化的議論が繰り広げられました。特に「吉本隆明・花田清輝論争」という重要な議論の場としても知られ、多くの読者を引き込む要因となりました。この時期、新聞は文学だけでなく、社会や政治についても鋭い意見を提供し続けました。

衰退と休刊

1970年代に入り新左翼運動が沈静化すると、日本読書新聞は大きな影響を受け、部数は激減しました。1980年代には活字離れの影響や、上野国雄の理事長就任による経営難が重なり、最終的には1984年に無期限休刊を宣言しました。

結論

日本読書新聞は、文学と書評を通じて日本の文化に多大な貢献をしてきた重要な媒体でした。戦前から戦後にかけて、様々な編集方針や社会状況を経ながらも、短い期間の中で豊かな内容を提供し続けたことは、今でも多くの人々に記憶されています。

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