日本軍『慰安婦』問題解決全国行動

水曜デモ（日本軍『慰安婦』問題解決全国行動）

「水曜デモ」あるいは「水曜集会」として広く知られる「日本軍『慰安婦』問題解決全国行動」は、第二次世界大戦中に日本軍の慰安婦とされた人々の一部やその支援者たちが、日本国政府に対し公式な謝罪と金銭的・法的な賠償を求めるために開催している集会です。

この集会は1992年1月8日に始まり、以来、毎週水曜日に大韓民国の首都ソウルにある在大韓民国日本国大使館前で継続して行われています。

集会の主体と内容

集会の主な主催者は、かつて「韓国挺身隊問題対策協議会（挺対協）」と呼ばれ、現在は「日本軍性奴隷制問題解決のための正義記憶連帯（正義連）」として活動する団体や、その支持者たちです。これに加え、学生団体や日本の市民団体が主催することもあります。

集会では、日本政府に対して具体的に以下の点を要求しています。

日本政府および軍が慰安所の設置、管理、統制に関与した事実を認めること。
女性たちが意に反して慰安婦となり、強制的な状況に置かれた事実を認めること。
撤回不能な形で公式に謝罪すること。
謝罪の証として被害者に賠償を行うこと。
* 慰安婦に関する内容を日本の教科書に記述すること。

当初は日本の国会決議による謝罪や日本政府の法的責任認定、責任者の処罰なども検討されましたが、日本政府との対話を進める上で、上記の要求案に絞られた経緯があります。

集会の場では、要求の表明やパフォーマンスの披露が行われる一方で、「慰安婦たちの恨みが晴らされなければ、日本人は災難を免れないだろう」といった日本人に対する憎悪や差別を煽るような言動が見られることもあります。また、慰安婦問題とは直接関連しない、例えば朝鮮学校の授業料無償化要求など、韓国国内の他の政治的な主張が展開されることもあり、こうした点については、後に集会への参加を取りやめた元慰安婦からも批判の声が上がっています。

日本からの関与と国内の動き

日本国内からも、韓国側の主張に賛同する社会民主党や旧民主党、共産党などの左派系政党に所属する国会議員らが、集会に参加したり支援を行ったりしてきました。また、日本国内でも水曜デモに関連する行動が行われており、2011年12月には東京で日本の外務省を取り囲む集会が開かれ、これに反発する保守系の団体と対峙する場面もありました。

慰安婦像の設置と外交問題

2011年12月14日の1000回記念集会では、ソウルの日本大使館前に無許可で慰安婦像が設置されました。これは日本政府が撤去を求めたのに対し、韓国政府が明確な対応を取らなかったことから、日韓間の外交問題へと発展しました。この1000回記念集会には、過去最大の参加者数があったとされています。

批判と衰退の兆候

水曜集会やその主催団体に対しては、内部や関係者からの批判も存在します。例えば、沈美子氏を含む一部の元慰安婦は、挺対協や関連施設が慰安婦を利用し、集まった寄付金や収益を適切に分配していないとして批判し、別の支援組織を結成したり、集会の中止や募金行為の停止を求める訴訟を起こしたりしました。

特に、初期から集会に参加していた李容洙氏は、2020年に正義連の運営に関する不正を告発し、今後は集会に参加しないと表明しました。同氏は、集会の内容が憎しみと傷だけを広めるものになっているとして、集会自体をなくすべきだと述べています。こうした内部からの告発や離反は、集会の信頼性や正当性に対する疑問を投げかけるものとなりました。

また、日韓合意後の2016年頃からは、集会において慰安婦問題そのものに関する議論が後退し、国定教科書反対、国家保安法廃止、当時の朴槿恵政権への批判など、慰安婦問題以外の国内政治的な主張が増えたことが指摘されています。参加者数も減少傾向にあり、動員できる支援団体の数も減るなど、集会全体の勢いが衰えている兆候も見られます。

法的な位置づけと行政の対応

韓国国内法や国際法では、外国公館から100メートル以内の区域での集会やデモは原則として制限されています。しかし、韓国の行政当局は、日本大使館前での水曜集会について、記者会見という名目で行われる行為などを事実上容認してきました。2020年には新型コロナウイルスの感染拡大防止を理由に、大使館前を含む特定のエリアでの集会が一時的に全面的に禁止されましたが、その後も主催者側は記者会見やオンライン形式として集会を継続しようとしています。

他地域での開催と近年の動向

水曜デモは、韓国だけでなく、中華民国（台湾）やアメリカ合衆国（ワシントンD.C.）など、他の地域でも開催されたことがあります。

新型コロナウイルスのパンデミック以降、2020年からはオンラインでの開催が中心となりました。一方、前述の李容洙氏は正義連への批判を続けつつも、2023年3月1日には約3年ぶりに水曜集会に参加し、韓国大統領に対して問題解決に向けた取り組みを求めています。集会は形を変えながらも現在も継続されていますが、内部からの批判や社会情勢の変化に直面しています。

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