日本遺伝学会

日本遺伝学会（にほんいでんがっかい）は、英語名称を THE GENETICS SOCIETY OF JAPAN、略称を GSJ と称する、日本の遺伝学分野を代表する学術団体です。

本会の起源は古く、1920年に設立されました。遺伝学が学問分野として確立されつつあった黎明期において、国内の研究を奨励し、関連知識の普及を図ることを目的に、遺伝学の先駆者として知られる安藤広太郎氏、田中義麿氏ら、志を同じくする研究者たちの尽力によって創設されました。以来、一世紀を超える長きにわたり、日本の遺伝学研究の発展とともに歩み続けています。

学会が掲げる主要な目的は二つあります。一つは「遺伝に関する研究の奨励」であり、もう一つは「その知識の普及」です。これは、遺伝学における基礎研究および応用研究の推進・活性化を促し、新たな知見の創出に寄与することを目指すとともに、そこで得られた専門知識や関連情報の広く一般社会への普及・啓発を図るという活動理念を具体的に示しています。研究者コミュニティ内での活発な意見交換や共同研究を促進し、研究成果が適切に評価・共有されるための環境整備に努めています。同時に、遺伝学の重要性や魅力を分かりやすく伝え、科学リテラシーの向上に貢献するための啓発活動にも注力しています。

学術活動の根幹をなすものの一つに、定期的な学術機関誌の発行があります。『Genes & Genetic Systems』（略称 GGS）は、遺伝学の最新の研究成果を世界に向けて発信する重要なプラットフォームとして機能しており、質の高い研究論文を掲載することで、国内外の研究者間の情報共有と議論の活性化に貢献しています。

組織基盤としては、事務所を静岡県三島市谷田1111に所在する国立遺伝学研究所内に置いています。同研究所との密接な連携のもと運営されており、研究機関との地理的な近接性は、学会活動の効率化や共同プロジェクトの推進に資するものと考えられます。会員数は2022年時点で735名を数え、遺伝学に関心を寄せる多様な背景を持つ研究者、技術者、教育関係者、学生などによって構成されています。これらの会員の皆様の参加と貢献によって、学会は活動を継続し、発展を遂げています。

また、学術分野全体における多様性の尊重と公正な機会の提供の重要性を認識し、男女共同参画学協会連絡会に加盟しています。これは、性別にとらわれず、すべての会員が最大限に能力を発揮できるような研究・教育環境の実現に向けた学会の取り組みを示すものです。

日本遺伝学会は、設立以来、日本の遺伝学研究の発展に不可欠な役割を果たしてきました。今後も、最新の研究成果の発信、次世代研究者の育成、そして社会への遺伝学知識の普及を通じて、生命科学および関連分野の進展に貢献していくことが期待されます。

もう一度検索