日本鉱業協会

日本鉱業協会について

日本鉱業協会は、日本の主要な非鉄金属企業が中心となって構成される業界団体です。銅、鉛、亜鉛、ニッケル、金、銀などの非鉄金属資源の開発、製錬、リサイクル、新素材開発、地熱エネルギー開発、環境保全など、幅広い分野で活動しています。

歴史

設立までの道のり

日本鉱業協会の設立に至るまでには、戦時体制下での統制と、戦後の混乱期における再編という複雑な過程がありました。

1938年： 日中戦争の影響下、国内銅需要を掌握するため「日本銅統制組合」が設立されました。
1940年： 鉱山資材の配給を目的とした「日本金属鉱業連合会」が発足しました。
1941年： 太平洋戦争開戦に伴い、鉱山業界への統制が強化され、「鉱山統制会」が設立され、これらの団体が統合されました。
1945年： 終戦により「鉱山統制会」は解散しました。
1946年： 新団体設立の許可を得て「全国鉱山会」が設立されました。
1947年： GHQの指令により「全国鉱山会」は解散、「鉱山調査会」が設立されました。その後、価格差補給金制度に対応するため「鉱山委員会」が設置されました。
1948年： 事業者団体法に基づき、「財団法人金属鉱山会」が設立され、同年「日本鉱業協会」が正式に設立されました。

設立後の活動

戦後復興期から朝鮮動乱特需： 戦後の混乱期、経済安定化政策やドッジ・ラインによる緊縮財政、価格差補給金の撤廃などにより、業界は大きな危機に直面しました。しかし、朝鮮動乱勃発による非鉄金属価格の高騰により、輸出の増加と国内需要回復が見られました。その後、ニッケル製錬事業助成臨時措置法が制定されました。
朝鮮動乱後の不況からの脱出： 朝鮮動乱休戦後の不況により、輸出不振、在庫増大、価格下落などの影響を受けましたが、世界的な景気回復により、国内銅の需給安定のため、日本政府は電気銅及び裸線の輸出を禁止しました。また、産銅・電線・伸銅の3業界の協力により、日本銅地金株式会社が設立されました。
貿易為替自由化の波： 貿易自由化の動きに対応するため、中小鉱業対策推進中央本部を設置しました。海外鉱物資源開発協力協会も設立され、海外資源開発を促進しました。貿易自由化対策委員会を設置し、政府に鉱業政策の確立を求めました。ニッケル、銀、銅などの貿易自由化が進む中で、関税割当制や交付金制度、融資事業団の設立などの対策が講じられました。中小鉱山の金融円滑化のため、全国鉱業協同組合が設立されました。また、金属鉱業等安定臨時措置法が制定されました。
高度経済成長期の終焉から安定成長期へ： 公害対策基本法が公布され、環境問題への関心が高まりました。松尾鉱山の閉山など、鉱山閉山が相次ぎました。ニクソン・ショックやオイルショックなどの影響により、非鉄金属業界は大きな打撃を受けました。プラザ合意以降の急激な円高により、国内鉱山閉鎖が進みました。
近年の活動： 国際的な資源ブームにより、非鉄各社の業績が向上しました。環境問題や資源リサイクルの重要性が増し、土壌汚染対策法が成立しました。日本鉱業協会は、非鉄スラグ製品の製造販売管理ガイドラインを作成しました。国際金属鉱業評価議会に入会し、議論に参画しています。探鉱準備金制度や減耗控除制度の拡充、国内バーゼル法の改正に貢献しました。また、科学技術館で展示ブース「Metal Factory」を開設し、人材育成にも力を入れています。

目的と事業

日本鉱業協会は、会員相互の連絡協調を通じて、日本の鉱業の健全な発展と会員間の親睦を図ることを目的としています。主な事業内容は以下の通りです。

鉱業、製錬、リサイクル事業の強化・推進・調査研究
全国大会の開催
協会賞の表彰
定例記者会見
国際関係団体との交流

業界の現状と課題

協会は、以下の業界共通の課題に取り組んでいます。

海外鉱物資源の獲得と安定供給確保： 日本は鉱物資源の多くを海外に依存しています。協会は、海外鉱山開発への積極的な参加や資源の輸入を通じて、安定供給を図っています。
製錬事業の強化： 国内製錬所の技術革新や経営努力を通じて、国際競争力を維持・強化しています。
資源リサイクルの推進： 非鉄金属のリサイクル技術の開発・普及を推進し、循環型社会の構築に貢献しています。
地熱エネルギー開発の促進： 地熱発電の推進を通じて、再生可能エネルギーの利用拡大を図っています。
鉛と亜鉛の需要開発： 鉛と亜鉛の需要拡大を目指しています。
地球環境の保全： 環境負荷の低減や温暖化対策に積極的に取り組んでいます。
人材確保・育成： 産官学連携を通じて、非鉄資源・製錬系の人材育成に努めています。

会員会社

日本鉱業協会には、多くの非鉄金属関連企業が加盟しています。住友金属鉱山、東邦亜鉛、DOWAホールディングス、JX金属、三菱マテリアルなどの大手企業が含まれています。

所在地

東京都千代田区神田錦町に事務所があります。

その他の活動

委員会活動を通じて、業界の要望を取りまとめたり、様々な問題解決に取り組んでいます。鉱業政策の要望活動、資源、製錬、新素材、リサイクル、鉱害防止、鉛亜鉛の用途開発など多岐にわたる委員会が設置されています。

日本鉱業協会は、日本の非鉄金属産業の発展に大きく貢献している重要な団体です。今後も、資源確保、技術革新、環境対策、人材育成などの課題に取り組み、持続可能な社会の実現に貢献していくことが期待されます。

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