土壌汚染対策法

土壌汚染対策法とは

土壌汚染対策法（平成14年5月29日法律第53号）は、土壌の汚染状況を把握し、それによる国民の健康被害を防ぐことを目的に、2003年2月15日に施行された日本の法律です。この法律の略称は「土対法」です。本法を「土染法」とする表現もありますが、これは農用地に関する他の法律と混同されるため適切ではありません。

主務官庁

この法律に関わる主務官庁は、環境省の水・大気環境局環境管理課環境汚染対策室です。

目的

土壌汚染対策法の主な目的は、土壌汚染の状況把握及び人々の健康被害を防ぐ措置を講じることにより、国民の健康を守ることです（法第1条）。

策定の背景

土壌汚染への対策は大きく二つに分けられます：汚染の未然防止と、既に発生した汚染の浄化です。未然防止には水質汚濁防止法や廃棄物処理法による規制があり、既存汚染については環境基準や調査指針が設けられています。しかし、土壌汚染はその他の公害と異なり法規制が欠如していたため、この法律が制定されました。特に工場跡地での土壌汚染問題が顕在化する中で、具体的な対策が求められました。

法律の内容

土壌汚染調査が義務付けられる土地には、廃止された特定有害物質使用施設の敷地や、形質変更の際の届け出が必要となります。また、土壌汚染の可能性が認められる土地は、都道府県の認可に基づき調査が指示されることもあります。特定有害物質としては、地下水汚染の懸念がある物質のほか、土壌へ直接影響を与える物質が指定されています。

調査と対策

この法律は、汚染土壌に触れることや、汚染された地下水を利用することにより生じるリスクを調査し、対策を講じることを目的としています。調査方法には、土壌と地下水に対する基準が設定され、特に重金属や有機物が問題視されています。

調査方法

土壌汚染の調査義務は、特定施設の廃止時や形質変更時に発生します。これにより、都道府県が汚染地域を指定し、必要な措置が取られることとなります。特定有害物質の指定条件には、地下水の汚染リスクや直接摂取による影響が含まれます。

問題点

法にはいくつかの問題が指摘されています。土地の周辺環境への影響評価が多く考慮されておらず、汚染評価方法も科学的進展に追いついていないとされています。また、調査機関の質や汚染浄化基準が柔軟性に欠けることも課題とされています。この結果、十分なリスク評価や対策が行われていない事実が問題視されています。

見直し

法律施行から数年が経過した後、環境省は2007年に懇談会を設立し、課題克服のための検討を進めることとなりました。これにより、現在の法律の適用範囲や対策処理の確保について見直しが進められています。

まとめ

土壌汚染対策法は、日本の環境保護において重要な役割を果たす法律ですが、依然として多くの課題を抱えています。法律の適用範囲の拡大や調査方法の改良、住民意見の反映が求められ、持続可能な環境保全へのステップとしての役割が期待されています。

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