日本陸軍鉄道連隊K1形蒸気機関車

日本陸軍鉄道連隊K1形蒸気機関車

日本陸軍鉄道連隊K1形蒸気機関車は、1928年に陸軍技術本部によって発注され、神戸の川崎車輌で製造された蒸気機関車です。この機関車は、当時の軍用鉄道の運用に特化した設計がなされており、軌間600mmの用に作られた飽和式単式2気筒サイドタンク機として知られています。K1形は、系列の先代であるドイツ製のE形蒸気機関車を参考にしながら、国産の次世代作戦用機関車としての特性を持つことを目指していました。

構造的特徴

K1形は、E形と同じく0-10-0の軸配置を採用しており、中央には大きな蒸気ドームが配置されています。その前後には砂箱が配置された、独特の2缶胴構成を持つ飽和式煙管ボイラが搭載されています。また、動軸遊動機構を使った駆動システムが採用されており、曲線を通過する性能にも優れています。動力伝達機構はE形の技術を基にしつつ、特許回避のためにクリン-リントナー式が採用され、結果として外支台枠式となっています。

特に注目すべき点は、E形と異なり、全動輪が連結棒で繋がれていることで、バランスウェイトが外側に露出していることです。このため、K1形はその見た目においても一線を画しています。運転台やポンプ、ジャッキなどの装置は、E形と共通した設計が施されており、国産化の意図が明確に見て取れます。

運用歴

K1形は、完成後に雨宮製作所によって製造されたN1形と共に評価試験を受けました。N1形が一部改良を加えたのに対し、K1形は従来のデザインを保ちながら高い評価を受けました。日本陸軍の設計コンペではK1形が最優秀となりましたが、当時の経済状況や陸軍予算の大幅削減により、量産には至りませんでした。この機関車の本格的な量産は、日米開戦後の1942年に改良型であるK2形が生産を開始するまで待たなければなりませんでした。

K1形のその後については、多くの情報が失われており、第二次世界大戦後の運命は不明です。志はあったものの、実を結ぶことがなかったK1形は、日本陸軍の鉄道技術の発展を象徴する存在として、今日も語り継がれています。

主要諸元

• - 軸配置: 0-10-0(E)
• - 軌間: 600mm
• - 構造: 飽和式単式2気筒サイドタンク機
• - 製造年: 1928年

参考文献

• - 花井正弘 『鉄道聯隊の軽便機関車 上』、草原社、2011年3月

関連項目

• - 大日本帝国陸軍兵器一覧
• - 鉄道連隊演習線
• - 日本陸軍鉄道連隊A/B形蒸気機関車|日本陸軍鉄道連隊A_B形蒸気機関車
• - 日本陸軍鉄道連隊E形蒸気機関車
• - 日本陸軍鉄道連隊K2形蒸気機関車

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