日本陸軍鉄道連隊E形蒸気機関車

日本陸軍鉄道連隊E形蒸気機関車について

日本陸軍鉄道連隊E形蒸気機関車は、かつて日本陸軍の鉄道部隊で使用されていた蒸気機関車です。この機関車は、1921年と1925年に、合計31両がドイツのオーレンシュタイン・ウント・コッペル社によって製造されました。主に、野戦軽便鉄道の運用を目的として設計されたこの機関車は、陸軍のニーズに応える力強い性能を備えています。

概要と設計

E形蒸気機関車は、行動力と機動性を両立するために、特に設計された5動軸構造を持ちます。これは、既存のA/B形機関車が持つ勾配の取り扱いや曲線通過の性能に制約があったため、E形ではそれらの問題を克服することを目指しました。特に、動軸遊動機構は、ドイツ陸軍の野戦軽便鉄道用に設計された特徴的なもので、これによって機関車は急曲線をスムーズに通過する能力を持っています。

設計に際しては、ドイツの技師、グスタフ・ルッターメラー博士の考案による動軸遊動機構が採用され、この設計は特許を保有しているため、オーレンシュタイン社のみが製造を行うことができました。

構造

E形蒸気機関車は、0-10-0 (E) の軸配置を持ち、600mmの軌間に対応する飽和式単式2気筒サイドタンク機で構成されています。特に、動軸が相互に首振り可能であることを考慮した構造は、急曲線を容易に通過させるために設計されています。水タンクは、複雑なギアボックスとの関係で、側面に配置されたサイドタンク式を採用しています。

使用と課題

配備当初からE形は、その高い重心が原因で脱線の危険性が指摘されました。このため、ボイラーの改造により重心位置を調整する工事が行われました。また、その後の増備として模倣したK1形とかK2形の機関車も生産されています。これにより、陸軍の鉄道運用が強化されましたが、大半のE形は満州での使用が多かったため、戦後の運命は不明です。

日本国内に残った機関車は、いくつかの鉄道会社に払い下げられ、今なお一部が保存されています。特に、西武鉄道ではいくつかの機関車が放置されていましたが、その後整備が進み、ユネスコ村や丸瀬布森林公園で静態保存されています。

現在の状況

E18とE103はそれぞれ異なる経緯で保存されており、E18はエリエイ出版部に移設され再設置されました。一方、E103は、ドイツに譲渡され、修復が続けられています。これらの機関車は、陸軍鉄道の歴史を今に伝える貴重な存在であり、その資産価値は高まっています。今後もその保存活動や復元作業が注視されることでしょう。

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