日本駆け込み寺

公益社団法人日本駆け込み寺

公益社団法人日本駆け込み寺（にっぽんかけこみでら）は、東京都新宿区の歌舞伎町に本拠を置く公益法人である。設立者であり代表理事を務めるのは玄秀盛氏。「歌舞伎町駆けこみ寺」の通称で知られ、人生の困難や生きづらさに直面した人々からの相談を受け、その解決を支援することを主な目的としている。

設立の経緯

その始まりは2002年5月20日、日本有数の繁華街である歌舞伎町に、当初NPO法人日本ソーシャル・マイノリティ協会（通称：新宿救護センター）として玄氏によって開設されたことに遡る。その後、NPO法人歌舞伎町駆けこみ寺へと名称を変更。2011年8月31日をもって組織改編のため現名称への変更を発表し、翌9月1日からは一般社団法人として活動を継続した。さらに2012年11月1日には、公益社団法人として新たなスタートを切り、より公益性の高い活動を展開している。

目的と理念

日本駆け込み寺の活動は、現代社会が抱える深刻な問題、例えばドメスティックバイオレンス（DV）、児童虐待、自殺、家出、家庭内暴力、いじめ、少年犯罪などの撲滅および防止に貢献することを大きな柱としている。また、人権擁護の推進、人々の心の安定と社会秩序の健全化を図ること、家族問題の実態調査や啓蒙活動も重要な目的である。特に、「生き方」や「居場所」を見失い、社会的に孤立しがちな人々に対して、具体的な助言や支援を提供することに力を入れている。

活動の内容と方針

困難を抱える一人ひとりが直面している問題に対して、その解決に向けた方向性や対策を共に考え、支援することを活動の基本方針としている。相談は主に電話や直接の面談形式で受け付けており、相談内容に応じて適切な行政機関、関連団体、専門業界への紹介も行う。主要な相談内容としては、以下が挙げられる。

ドメスティック・バイオレンス (DV)
金銭トラブル
家出
家庭内暴力
ストーカー
虐待、ひきこもり、不登校、いじめ

また、トラブルの回避や解決に役立つセミナーや勉強会を実施し、問題解決のための知識やスキルを提供している。青少年の自立支援にも力を入れており、マンツーマンでの対話を通じて成長を促す。活動を支えるボランティアの育成にも積極的で、彼らの自主性を尊重した運営を心がけている。社会秩序の健全化に向けた啓蒙活動として、講演会や研修会なども行っている。

社会的な居場所の提供

日本駆け込み寺の重要な役割の一つは、「自分が自分らしくいられる居場所」を提供することである。社会から孤立し、どこにも頼る場所がないと感じている人々にとって、ここは安心できる避難所であり、再出発のための足がかりとなる場所となっている。また、NPO関連団体との情報交流会を開催したり、協会の地方支所開設と連携を進めるなど、より広範なネットワークを構築し、多様なニーズに応えられる体制づくりを目指している。

メディアでの紹介

その社会的な活動は多くのメディアの注目を集めており、これまでに複数のテレビ番組で取り上げられている。

ドラマ:
フジテレビ『こちら新宿駆けこみ寺〜泣き笑い玄さん奮闘記〜』（2006年6月30日）
テレビ朝日『愛・命 〜新宿歌舞伎町駆け込み寺〜』（2011年12月17日）
ドキュメンタリー:
フジテレビ『ザ・ノンフィクション』シリーズ（2003年〜）：『みんな泣いている』他、複数回にわたり活動が紹介されている。
NHKドキュメンタリー『信じる男 信じられた男～新宿歌舞伎町駆け込み寺』（2019年5月13日）

関連団体

活動を共にする関連団体として、一般社団法人再チャレンジ支援機構、一般社団法人青母連（青少年を守る父母の連絡協議会）、よろず相談研究所などがある。これらの団体とも連携しながら、社会的な課題解決に取り組んでいる。

まとめ

公益社団法人日本駆け込み寺は、現代社会の様々な問題に苦しむ人々に寄り添い、具体的な支援を提供することで、彼らが再び社会の中で「生きる」ための希望を見つけられるよう努めている。歌舞伎町という特別な場所から発信されるその活動は、多くの人々に影響を与え、より良い社会の実現に貢献している。

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