日本高等学校 (旧制)

日本高等学校：戦後改革の波に翻弄された短命な旧制高校

1947年、東京都大田区に設立された日本高等学校は、特異な歴史を持つ旧制高校でした。その前身は、1910年創立の日本女子歯科医学専門学校です。婦人歯科医師養成を目的とした同校は、戦後、GHQによる高等教育機関の再編の中で、大学への昇格基準を満たさずB級判定を受けます。この判定により、専門学校としての存続が危ぶまれることとなりました。

財団法人は、学生の教育継続を図るため、高等教育機関として認められていた旧制高等学校の設立という決断を下します。こうして、旧制日本女子歯科医学専門学校の生徒を救済する役割を担う日本高等学校が誕生しました。3ヶ年制の高等科（理科のみ）を設置し、1947年9月に開校。男子35名、女子9名が最初の生徒として入学しました。

しかし、日本高等学校の歩みは長くは続きませんでした。新制大学への移行基準を満たせなかったため、わずか3年間でその歴史に幕を閉じます。1950年3月、第1期卒業生を送り出し、閉校となりました。

なぜ日本女子歯科医学専門学校はB級判定を受けたのでしょうか。学校側は、女子のみを対象とした医学教育機関という特殊性が、GHQの理解を得られなかったためではないかと推測しています。当時、女子医学教育機関、特に女子のみの歯科医学校は世界的に見ても稀な存在だったのです。同様の理由から、東洋女子歯科医学専門学校もB級判定を受け、旧制高校への転換を余儀なくされています。

日本高等学校は、戦後日本の高等教育改革という大きな流れの中で、短期間ながらも存在感を示した学校でした。その設立から閉校までの経緯は、時代の変化と教育制度の変革を如実に物語っています。わずか3年間という短い歴史でしたが、卒業生たちはそれぞれの道を歩み、後の歯科医療界の発展に貢献したことは間違いありません。

閉校後、学園は歯科医師養成という当初の目的を断念せず、1950年には歯科衛生士養成を目的とする日本女子歯科厚生学校を開校。その後、湘南短期大学を経て、1964年には神奈川歯科大学を開学しました。これは、日本女子歯科医学専門学校の伝統と精神が受け継がれ、発展を遂げた証と言えるでしょう。

日本高等学校は、その存在期間は短かったものの、戦後の混乱期における教育制度改革、そして女子高等教育のあり方について考える上で重要な事例として、後世に語り継がれていくべきでしょう。その歴史は、決して無駄にはならず、現代の教育制度に繋がる貴重な教訓を残しています。

参考文献

日本女子歯科医学専門学校同窓会『日本女子歯科医学専門学校史: 創立80周年を記念して クローバー』、1992年
秦郁彦『旧制高校物語』（文春新書）文藝春秋、2003年

関連事項

旧制歯科医学専門学校
旧制高等学校
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学制改革

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