日清世界クイズ

日清世界クイズ：世界旅行をかけたクイズ番組の全貌

1970年10月4日から1971年3月28日にかけて、日本テレビ系列で放送された『日清世界クイズ』。日清食品（現・日清食品ホールディングス）の一社提供、日本航空協賛という豪華な体制で制作されたこの番組は、関口宏を司会、小橋玲子をアシスタントに迎え、当時としては斬新なクイズ形式と、魅力的な賞品で多くの視聴者を魅了しました。毎週日曜日の19時30分から20時00分までの30分間、クイズと共に、日曜の夜に華を添えた番組と言えるでしょう。

視聴者参加型クイズと独自のゲームシステム

この番組は、6人の参加者がクイズに挑戦する視聴者参加型番組でした。参加者は、事前にグアム、香港、ハワイ、アメリカ、ヨーロッパのいずれかの旅行先を目標ルートとして設定します。そして、クイズに正解することで得点を獲得し、設定した目標地点を目指します。最高得点者を競うのではなく、いかに自身の目標地点に到達するかが勝負の鍵でした。

クイズは、6つのジャンル（日本、南北アメリカ、ヨーロッパ、アジア・オセアニア、中近東・アフリカ、ノンセクション）と10個の番号で構成された6×10のパネルボードから出題されます。正解者は、このボードから1枚のパネルを選び、そのパネルに隠された問題に挑戦します。

各パネルには「日清食品の旧ロゴ」「出前一丁」「出前坊や」「日清食品（社名）」のいずれかの画像が隠されており、パネルの種類によって問題の難易度や獲得点が異なりました。「日清食品の旧ロゴ」は通常問題で1点、「出前一丁」は正解で3点獲得できます。一方、「出前坊や」パネルは、パネルを選択した解答者のみが解答権を持ち、正解するとルート変更権が得られました。そして、最も視聴者の心を掴んだのが「日清食品」パネルです。このパネルを選択し、正解すると、目標地点への直行、つまり海外旅行の獲得が決まり、天井から紙吹雪と風船が舞い降りる演出で、スタジオは祝祭ムードに包まれました。

番組後期にはルール改正が行われ、クイズ後半で正解者へのルート変更権が与えられるようになり、「出前坊や」パネルによるルート変更権は廃止されました。また、「日清食品」パネルも当初1枚だったのが2枚に増えました。

しかし、リスクもありました。「日清食品」パネルの問題に不正解すると、それまで獲得した全ての得点が没収され、解答席の後ろに移動させられ、次の問題で正解者が出ない限り解答権を得られませんでした。0点からの再スタートを余儀なくされる厳しいルールでした。アメリカやヨーロッパへの旅行は「日清食品」パネルの問題に頼らざるを得ない難易度でしたが、各参加者のルート設定が工夫されていたため、多くの海外旅行獲得者を生み出しました。時には複数の参加者が海外旅行を獲得する回もあれば、時間内に誰も目標に到達できない回もあったりと、番組の行方は最後まで読めない展開が魅力の一つでした。

類似番組との比較と番組の遺産

『日清世界クイズ』は、毎日放送の『アップダウンクイズ』のような、複数の高額賞品獲得者が出る展開と、時間切れで賞品獲得者ゼロという展開の両方を持ち合わせていました。また、TBSで放送され、関口宏が司会を務め、ルールも『日清世界クイズ』に酷似していた『クイズ世界をあなたに』という番組も存在しており、関口宏とクイズ番組の相性の良さを物語っています。

『日清世界クイズ』は、視聴者参加型クイズ番組の先駆けとして、日本のテレビ史にその名を残す番組となりました。その独特のゲームシステムや、豪華な賞品、そして関口宏の司会ぶりは、多くの視聴者の記憶に刻まれていることでしょう。

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