日満議定書

日満議定書について

日満議定書は、1932年9月15日に日本と満洲国との間で結ばれた条約です。この議定書の調印式は、満洲国の首都新京にある執政府で行われ、日本側の全権は武藤信義陸軍大将（関東軍司令官）が務め、満洲国側の全権は鄭孝胥国務総理でした。調印は午前9時10分に行われました。

この議定書の背景には、前年の1931年に発生した満州事変があり、日本軍はこの事件を通じて満洲の広範囲を制圧しました。続いて1932年3月1日に満洲国が建国されると、日本政府は日満議定書を介してこの新国家を公式に承認しました。

議定書の主な内容

日満議定書には以下の重要事項が記されています。

1. 満洲国の承認：日本政府は満洲国を正式な国家として認めることを明示しました。
2. 日本の権益の維持：満洲での日本の既得権益を保持し、特に関東州の統治権を明確に示しました。
3. 関東軍の駐屯：満洲国における共同防衛の名の下で、日本の関東軍の駐屯を認める取り決めがなされています。

この議定書の交換に際しては、いくつかの附属文書も取り交わされました。その中には、関東軍による満洲国の国防の委任や、国防経費の負担に関する合意があります。具体的には、関東軍は満洲国の国防を担当する一方で、その経費は満洲国側が負担することとなりました。

さらに、関東軍が必要とするインフラの管理（鉄道や港湾、水路など）や新たな公共施設の建設についても、日本または日本の指定した機関に委託されることが盛り込まれています。また、日本人の官僚や参加者を中央及び地方の政府に登用する場合、関東軍司令官の推薦が必要とされました。解職に際しても司令官の同意が条件づけられました。

祝賀行事

議定書の締結当日、満洲国執政の溥儀は料理を伴う午餐会を開催し、双方の参加者が列席しました。この場では日本側の武藤信義の音頭で乾杯が交わされ、両国間の友好と満洲国の繁栄が祈念されました。さらに、日本国内でも様々な祝賀イベントが行われ、外務大臣の内田康哉がラジオで満洲国の承認についての演説を発表しました。

この日満議定書の意義は、単なる外交文書に留まらず、日中関係や国際的な勢力図にも影響を及ぼす歴史的な出来事として位置づけられています。日本と満洲国による正式な合意は、その後の東アジアの情勢や国際政治においても重要な意味を持つものでした。

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