日産・フェアレディZ Z34

フェアレディZ Z34 概要

日産自動車が手がけるフェアレディZ Z34は、2008年から2021年にかけて製造されたファストバッククーペ型のスポーツカーです。このモデルは、先代のZ33型からエンジンの排気量を200cc増加させた「VQ37VHR」を搭載し、ホイールベースが100mm短縮されました。Z34型は、国内外合わせて約120カ国での販売を目指して展開されました。2022年には後継モデルとしてRZ34型が登場しましたが、Z34型も今なお高い人気を誇っています。

メカニズム

パワートレイン

フェアレディZ Z34は、自然吸気V型6気筒エンジン3,696ccの「VQ37VHR」を搭載しています。このエンジンは、日産のECUや設計細部で改良が加えられ、出力特性がZ34専用となっています。標準モデルでは336PSを発生させ、NISMO仕様においては355PSに達します。この出力は、同類の自然吸気V型6気筒エンジンとしては最高水準を誇ります。

トランスミッションは、7速ATまたは6速MTから選べるため、運転スタイルに合わせた楽しみ方が可能です。特に、7速ATは日産として初めて搭載されたものであり、インフィニティブランドでも使用されているモデルです。独自チューニングが施されたこのATユニットは、反応速度も非常に速く、操作性に優れています。

また、Z34型は特別な制御機構を持っており、空転や横滑りを防止する「VDC」を搭載しています。これにより、公道でも安定した走行が可能となっています。

ボディとシャシー

Eプラットフォームを基にしたZ34型は、スカイラインクーペからの技術を受け継いでいますが、大部分は新たに設計されています。ボディはフロントミッドシップの構造を採用しており、重量配分や剛性に優れた設計となっています。また軽量化を図りながらも、アルミニウム合金の使用拡大によって全体の剛性を向上させています。

開発過程では、特にオープンモデルであるロードスターに関する剛性保持も考慮され、全体でねじり剛性が40%向上するなど、安全性ともに高い車体構造が実現されています。ステアリングにはパワーステアリングが採用されており、自然な手応えを感じることができます。

デザイン

Z34型のデザインは、「ロングノーズ」というアイデンティティと流麗で筋肉質なスタイリングを両立させています。初代フェアレディZのスタイルを取り入れつつ、現代的なテイストを加えることで、官能的なデザインに仕上がっています。エクステリアでは、流線型のフォルムとブーメラン型の前後ランプが特徴で、空気抵抗を抑える工夫も加えられています。これによりCd値は0.30と非常に優れた数字を記録しています。

ラインナップ

フェアレディZ Z34には、基本モデルに豪華装備を加えた「Version T」、スポーツ志向の「Version S」、それらの要素を併せ持つ「Version ST」、そして高性能を追求した「Version NISMO」がラインアップされています。さまざまなトランスミッションの選択肢が用意されているため、ユーザーのニーズに対応する柔軟性も魅力です。

モータースポーツ

フェアレディZ Z34は、スーパー耐久や米国のSCCAシリーズにも参戦しており、その高性能を証明しています。競技用の特別仕様車も生産され、このモデルはレースカーとしても多くの実績を持っています。

年表

このモデルは2008年に初めて写真が公開され、11月にはロサンゼルスオートショーでデビューを果たしました。その後、日本市場でも内容が充実したモデルとして登場し、多くの評価を得ています。

このように、日産のフェアレディZ Z34は、高性能スポーツカーとしての魅力に溢れ、歴史的なモデルとしての存在感を放っています。

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