日産・プレーリー

プレーリー - 日産自動車のミニバンの歴史

プレーリーは、日産自動車が1982年から2004年にかけて製造したミニバン型の乗用車です。初代から3代目まで、異なる時代のニーズに応え、様々な改良を加えながら進化を遂げてきました。本記事では、各世代のモデルについて掘り下げ、その特長や市場での反響を探ります。

初代 M10型（1982年 - 1988年）

初代プレーリーは1982年8月24日に発売されました。このモデルは旧プリンス自動車の開発拠点で、オースターJXとスタンザFXを基に設計され、革新的なミニバンカテゴリーを生み出した先駆者でした。キャッチコピーは「びっくり BOXY SEDAN」、従来のセダンの枠を超えた新しい形の実現をアピールしていました。

当初は3列シートのJW系を中心に、後席を折りたたむことができるRV系や、リムジン的なSS系、商用車向けのNV系など、4つのバリエーションが展開されました。特に注目すべきは、両側センターピラーを排除した構造で、信じられないほどの広い室内空間を確保しました。また、サスペンション技術の革新により、超低床レイアウトを実現し、さまざまなシートアレンジが可能になりました。

エンジンは、直4 OHVエンジンのCA18S型とE15S型を搭載し、当時の燃費を意識した設計となっています。しかし、この新しいコンセプトに対し、実際の走行性能やボディ剛性は期待通りとはいかず、不人気に終わりました。それでも、このモデルは日本におけるミニバンの先駆けとしての役割を果たしました。

2代目 M11型（1988年 - 1998年）

1988年9月27日には、2代目のM11型が登場しました。このモデルはブルーバードをベースに開発され、センターピラーを持つ構造へと変更されました。従来のシート配列から、豪華なJ系と廉価版のM系という分け方へとシフトしましたが、選択肢は制限されました。

エクステリアデザインは洗練され、スタイリッシュな外観になりましたが、先代の持つ空間の広さは維持されず、相変わらず市場での人気は伸び悩みました。なお、北米ではAxxessとして販売され、日本市場向けに特別仕様車も登場しましたが、売上は振るわず、その結果、モデルの変更がないまま販売が続けられました。

3代目 M12型（1998年 - 2004年）

1998年11月には、M12型がましてプレーリーリバティとして改称され、全く新しいモデルとして登場しました。CMにはRIKACOと渡部篤郎が出演し、「パパ・ママ・リバティ」というキャッチコピーが印象的でした。このモデルでは、パワートレインやサスペンションを他のモデルと共有し、エンジンは直4 DOHC SR20DE型に統一されました。

特別仕様車やエアロパーツも組み込まれるなど、バリエーションが豊富に展開されました。さらに、販売戦略としてファミリー層をターゲットにし、安全装備や快適性を重視した結果、一定の支持を得て販売数が増加しました。しかし、同時に価格も上昇し競争力が低下したため、他の人気モデルには及ばず、次第に市場シェアを失っていきました。

このように、プレーリーは時代とともに姿を変え、日産自動車のミニバン市場において重要な役割を果たしてきました。しかし、2004年に販売が終了するまでに、このモデルは多くの課題と試練を乗り越えてきたことは、その歴史を語る上で外せない要素です。プレーリーの名は、今も多くの自動車ファンの心に刻まれています。

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