日産・R391

日産・R391について

日産・R391は、1999年にル・マン24時間レースへ向けて開発されたスポーツカーで、その特徴はオープンカー形状にあります。先代のR390がクローズドカーだったのに対し、R391はより軽量化と空力効率を考慮した設計となっています。また、シャシーの開発は、フランスのGフォース社と共同で行われ、エンジンにはVRH50A型を搭載しました。

開発の背景

1995年にル・マンに復帰した日産は、モータースポーツチームであるNISMOを中心に、1997年からR390 GT1の開発に本格的に着手。R390は公道走行可能な性能を維持していましたが、1998年のシーズンを経て、さらなる向上を目指すことが決定されました。しかし、GT1クラスのルール変更気運により、日産はプロトタイプクラスにシフトすることを決断します。この改変に伴い、もともと考えていたクローズドコックピットが断念され、オープンコックピットへと方針が転換されました。

R391の基本設計には、R390 GT1のデザインが応用されていましたが、新たなシャシーを確保する必要が生じ、日産はGフォースに開発を依頼。NISMOのデザイナーとして名を馳せた永島勉がプロジェクトにかかわり、クラージュ・コンペティションとの協力により、高信頼性のエンジンが準備されます。

エンジン技術

R391は新エンジンにVRH50Aを採用しました。このエンジンは自然吸気タイプで、ターボチャージャーを使用せず、信頼性と安定性の両方を兼ね備えています。5リッターの排気量を持ち、スムーズな出力とサステイナブルなパフォーマンスを提供しました。R391のエンジニアは、エンジンに負荷をかけることなく、高いパフォーマンスを果たすために設計を最適化しました。

また、R391のエンジンはインフィニティQ45に使用されていたブロックを基にしており、新素材や鍛造技術によって強化され、非常に高い耐久性を実現。これにより、加速やコーナリング時の安定性が向上しました。

戦績とル・マンでの挑戦

1999年のル・マン24時間レースでは、NISMOによるR391が2台、旧型のVRH35Lエンジンを搭載したクラージュ・C52が1台投入されます。予備予選では、R391は信頼性の高いタイムを記録し、進行中の調整や改善に成功。最終テストでも良好なパフォーマンスを示しました。

しかし、レース本番では予期せぬ事故やメカニカルトラブルに見舞われ、最終的には110周完走後にリタイアする結果となりました。一方、クラージュ・C52は難を乗り越え、8位フィニッシュを果たしました。

ル・マン富士1000km

その後、1999年後半に行われた「ル・マン富士1000km」にも参加。ここでは、吸気口位置の改善やパドルシフト機構を装備し、パフォーマンスを大幅に向上させました。予選では好位置を獲得し、決勝レースでは善戦。最終的に圧倒的なパフォーマンスを発揮し、チームは勝利を収めました。

その後の活動

日産のR391の成功は、翌年のル・マンへの参戦計画を抱かせましたが、経営上の理由からプロジェクトは終了し、その後ル・マンへの参戦は長い間行われることはありませんでした。R391は後にデモ走行などでその存在感を示し続け、モータースポーツの歴史に名を刻んでもいます。

高い技術力とアプローチを採用した日産・R391は、スポーツカーの歴史において特別な位置を占めています。

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