日足トンネル

日足トンネルについて

日足トンネル（にっそくトンネル）は、栃木県日光市の清滝地区と足尾地区を結ぶ国道122号ライン上に位置するトンネルです。このトンネルは1978年3月30日に開通し、その長さは約2,765メートル、幅は9メートルで、多くの車両が通行できるよう設計されています。指定された最高速度は40 km/hです。

構造的背景と開通の経緯

開通前の細尾峠は、つづら折れの道と狭い路線が特徴で、日光と足尾を結ぶ主要な道としては慢性的な交通渋滞を引き起こしていました。このため、1973年10月に新たなトンネルの建設計画が持ち上がり、数年間にわたる工事を経て、ようやく日足トンネルが完成しました。総工費は約65億円にのぼり、このトンネルの開通により、細尾峠は旧道として扱われることとなりました。トンネルの入口付近には開通を祝う記念碑が建てられ、訪れた人々にその歴史的な意味を伝えています。

トンネルの影響

日足トンネルの開通によって、地域の交通状況は大きく改善されました。特に、足尾町（現在の足尾地区）へのアクセスが向上し、金精道路が冬期に閉鎖された際の迂回路としても機能しました。これにより、以前よりも迅速な移動が可能となり、日光や宇都宮などへのアクセスが大幅に改善されました。

このトンネルは、昔から存在した細尾峠の有用性を引き継いでいます。かつては足尾銅山から産出された銅を運ぶための索道があり、その後、足尾鉄道（後の国鉄足尾線、現・わたらせ渓谷鐵道わたらせ渓谷線）の開通によって索道は廃止されました。したがって、日足トンネルは鉄道が通らない地域の重要な交通路の役割を果たしています。さらに、町が合併して日光市に含まれるようになったことから、足尾地区と市街地を結ぶ唯一のアクセスルートとなる等、地域の移動機能を支える存在となっています。

日常的な利用状況

日足トンネルの利用者は多く、地区内の交通手段が充実しているとはいえ、鉄道が通っていないため、市営バスが足尾、清滝、東武日光駅、JR日光駅間を結ぶバス路線が整備されています。このバスは1日あたり6往復運行されており、地域の移動手段を提供しています。

また、トンネルは定期的に保守工事が行われるため、その際は片側通行止めとなることがあります。これは通行時間に影響を及ぼすため、利用者は事前に状況を確認することをお勧めします。

安全対策

2014年に笹子トンネルで発生した天井板落下事故を受け、日足トンネルでも安全確保が進められました。2014年11月から2015年3月にかけて、天井板の撤去や通風の強化を目的としたジェットファンの設置工事が行われたことで、より安全な通行が実現されました。

このように日足トンネルは、地域の交通改善だけでなく、安全性の向上にも大いに寄与しています。

もう一度検索